「ブルルッ、ブルッツ」ーー音戸渡船(広島県呉市)の木造船が大型定期船を避けながら瀬戸内海の倉橋島(呉市音戸町)と同市警固屋(けごや)を隔てる「音戸の瀬戸」を結ぶ。平清盛が1日で開いたといわれる幅90メートル、日本一短い定期航路。1日700隻の船舶が往来し、潮流が急な瀬戸内海交通の難所だ。
祖父の代から営む花本智博さん(51)と、29年間船頭を務める蒲原新司さん(61)の2人で運航している。利用客は高校生とお年寄りを中心に1日250~300人。真紅のアーチ橋で有名な音戸大橋の開通(61年12月)以前と比べると約20分の1に減った。
それでも、住民たちにとってなくてはならない交通手段だ。花本さんは「業績は厳しいが、お年寄りは足がなくなったら困る。地域のために頑張る」。前後左右に目を凝らし舵を操りながら語った。【写真・文 小関勉】
運行時間は午前5時半~午後9時。随時運行で、客が乗り込めば出発する。向こう岸に渡船がいる場合、桟橋に出ればすぐに迎えに来てくれる。料金は大人70円、小学生は40円、自転車(乗船料込み)は90円、原付バイク(同)は110円。
2011年9月10日