<在日中国人のブログ>戦後日本で大量生産された首相たち
2011年9月8日、華字紙・中文導報の楊文凱(ヤン・ウェンカイ)編集長は「戦後の日本の首相に関する研究」と題した記事を中国のブログサイト・鳳凰博報に掲載した。以下はその概要。
【その他の写真】
戦後最も蔑まれた首相、菅直人氏がやむなく辞任し、野田佳彦氏が新首相に任命された。日本は10年で7人の首相という新記録を達成。戦後66年で33人の首相という大量生産ぶりである。平均在任期間はわずか2年。戦後34人目となった野田氏がいつまでもつか、これも楽観できる状況ではないだろう。
1945年8月17日に就任した東久邇宮稔彦王から退陣したばかりの菅氏まで戦後66年の曲折を振り返った、作家の半藤一利氏と政治評論家の岩見隆夫氏との対談が雑誌「新潮45」に掲載された。「日本の首相」という特殊な団体を詳しく分析することで、日本が今日に至った原因が示されている。
東久邇宮稔彦王から麻生太郎氏までちょうど30人。時代と年齢により3つのグループに分けられる。第1グループの10人は東久邇宮稔彦王から佐藤栄作氏まで。戦前から政治に携わっており、戦時中から国とともに苦難の道を歩んできた人たちだ。そのため、政治家としてもかなり鍛えられている。
第2のグループは田中角栄氏から宮澤喜一氏までの10人。戦前は政治家ではなかったが、各々の専門分野で社会経験を積んできた。政党内部の激しい権力闘争の中で鍛えられた人たちだ。戦後日本の復興とともに歩んできたため、首相として特別な訓練と経験を積むことができた。
第3のグループは細川護熙氏から麻生太郎氏までの10人。ほぼ世襲政治家で占められている。彼らは戦後日本の苦難の歳月をあまり知らない世代。日本が廃墟から出発し、繁栄の時代へと向かう光り輝く時代を背負えば良かったため、鍛錬が足りない。そのため、困難な局面になっても右往左往するだけだ。だが、社会党の村山富市氏は例外である。
生まれた年代で分けると、東久邇宮稔彦王から宮澤氏までは明治、大正。海部俊樹氏が昭和生まれの最初の首相だ。麻生氏までは戦前昭和の生まれ、安倍晋三氏は戦後昭和生まれの第1号。鳩山由紀夫氏、菅氏、野田氏も戦後昭和生まれだ。菅氏の世代は「団塊の世代」と呼ばれ、激しい競争社会に身を置いてきたため、他人を信じない。自己中心的な人生観で生きてきた世代だ。
菅氏は「最小不幸社会」の実現を掲げたものの、何でも独断で進めた結果、社会を壊し、市民活動家の虚無体質を露呈した。結局、自らが戦後「最大の不幸首相」になって終わった。政治家に必要な資質は「決断力」と「構想力」だ。田中氏以降の10人は初期の頃は称賛に値するが、だんだんと惰性を見せ始め、ついには党内抗争に明け暮れるようになってしまった。「構想力」を失い「抗争力」を身に付けた形だ。
だが、それでも菅氏よりはマシだったと思う。鳩山、菅両氏は首相になる器ではなかったことは一目瞭然だった。特に菅氏ほどの軽蔑と侮辱を受けた首相は類を見ないだろう。日本の戦後の首相集団は菅氏に至ったところで、もはや絶体絶命となってしまった。菅氏が道を譲ったことで、後任の首相が国家百年の大計を改めて描くことができるのだろうか?(翻訳・編集/NN)
●楊文凱(ヤン・ウェンカイ)
日本華字紙・中文導報編集長。上海の復旦大学中国語学科卒業。95年に来日。98年に中文導報入社。著書にコラム集「卒業10年」、社説集「天涯時論」、インタビュー集「人在旅途」など。
※本記事は著者の承諾を得て掲載したものです。
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東久邇宮稔彦王から麻生太郎氏までちょうど30人。時代と年齢により3つのグループに分けられる。第1グループの10人は東久邇宮稔彦王から佐藤栄作氏まで。戦前から政治に携わっており、戦時中から国とともに苦難の道を歩んできた人たちだ。そのため、政治家としてもかなり鍛えられている。
第2のグループは田中角栄氏から宮澤喜一氏までの10人。戦前は政治家ではなかったが、各々の専門分野で社会経験を積んできた。政党内部の激しい権力闘争の中で鍛えられた人たちだ。戦後日本の復興とともに歩んできたため、首相として特別な訓練と経験を積むことができた。
第3のグループは細川護熙氏から麻生太郎氏までの10人。ほぼ世襲政治家で占められている。彼らは戦後日本の苦難の歳月をあまり知らない世代。日本が廃墟から出発し、繁栄の時代へと向かう光り輝く時代を背負えば良かったため、鍛錬が足りない。そのため、困難な局面になっても右往左往するだけだ。だが、社会党の村山富市氏は例外である。
生まれた年代で分けると、東久邇宮稔彦王から宮澤氏までは明治、大正。海部俊樹氏が昭和生まれの最初の首相だ。麻生氏までは戦前昭和の生まれ、安倍晋三氏は戦後昭和生まれの第1号。鳩山由紀夫氏、菅氏、野田氏も戦後昭和生まれだ。菅氏の世代は「団塊の世代」と呼ばれ、激しい競争社会に身を置いてきたため、他人を信じない。自己中心的な人生観で生きてきた世代だ。
菅氏は「最小不幸社会」の実現を掲げたものの、何でも独断で進めた結果、社会を壊し、市民活動家の虚無体質を露呈した。結局、自らが戦後「最大の不幸首相」になって終わった。政治家に必要な資質は「決断力」と「構想力」だ。田中氏以降の10人は初期の頃は称賛に値するが、だんだんと惰性を見せ始め、ついには党内抗争に明け暮れるようになってしまった。「構想力」を失い「抗争力」を身に付けた形だ。
だが、それでも菅氏よりはマシだったと思う。鳩山、菅両氏は首相になる器ではなかったことは一目瞭然だった。特に菅氏ほどの軽蔑と侮辱を受けた首相は類を見ないだろう。日本の戦後の首相集団は菅氏に至ったところで、もはや絶体絶命となってしまった。菅氏が道を譲ったことで、後任の首相が国家百年の大計を改めて描くことができるのだろうか?(翻訳・編集/NN)
●楊文凱(ヤン・ウェンカイ)
日本華字紙・中文導報編集長。上海の復旦大学中国語学科卒業。95年に来日。98年に中文導報入社。著書にコラム集「卒業10年」、社説集「天涯時論」、インタビュー集「人在旅途」など。
※本記事は著者の承諾を得て掲載したものです。
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