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これが「適材適所」人事なのか

2011/9/11付
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 鉢呂吉雄経済産業相が辞任した。東京電力福島第1原子力発電所周辺を「死の町」と表現したり、取材記者相手に「放射能をつけてやろうか」と発言したりしたことが、強い批判を招いたため、引責辞任した。

 野田佳彦首相は就任直後の記者会見で東日本大震災の被災地復興を「最大の使命」と位置付けていた。原発をめぐる軽率な発言で経産相が辞任したことで、首相の任命責任も免れない。高い支持率で船出したばかりの新政権にとって大きな打撃となった。

 経産相はエネルギー政策を所管する閣僚であり、首相らとともに8日に福島第1原発を視察した。

 経産相は「誤解を与える表現だった」として後に「死の町」発言を撤回し、謝罪していた。しかしこの表現は被災地への配慮に欠ける、不用意すぎる発言である。視察から帰った夜の「放射能をつけてやろうか」発言は記者への軽口だったようだが、深刻な放射能汚染問題を冗談にする感覚を疑わざるを得ない。

 自民党など野党側は鉢呂氏の辞任を強く求め、13日召集の臨時国会の運営にも悪影響が出かねない情勢だった。辞任はやむを得ない。

 首相は新内閣の顔ぶれについて「基本的には適材適所だ」と語ったが、早くも人事でつまずいた形である。党内各グループに配慮する「挙党態勢」づくりを優先した結果、手腕が未知数な閣僚が多いと懸念されていた。鉢呂氏も環太平洋経済連携協定(TPP)に慎重姿勢を示すなど、経産相としての適格性を疑問視する声があった。

 一川保夫防衛相は就任直前に「安全保障は素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と発言し、野党側は国会で追及する姿勢を示している。小宮山洋子厚生労働相が持論のたばこ税増税を主張し、安住淳財務相が不快感を示すなど、野田内閣の閣僚から心もとない言動が相次いでいる。

 平野博文国会対策委員長は「いまの内閣は不完全な状態で、十分な国会答弁ができない」と野党側に表明し、反発を招いたが、こんな体たらくでは困る。早くたがを締め直さないと、高い期待を背負った野田内閣は急失速しかねない。

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鉢呂吉雄、東京電力、福島第1原子力発電所、野田佳彦、一川保夫、平野博文、小宮山洋子、安住淳

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