日本政府がベトナムに原発輸出を続ける考えを8月に伝えた際、当時の菅直人首相が同国首相あての親書作成に応じず、担当の経済産業相、外相の連名による親書に「格下げ」されていたことがわかった。ベトナムへの原発輸出は菅氏が主導していたが、東京電力福島第一原発の事故を受けて「脱原発」に転じただけに、難色を示したようだ。
政府関係者らによると、事故後にベトナムからの原発受注工作を強めた韓国を牽制(けんせい)するため、海江田万里経産相(当時)らが日本の輸出継続の方針をベトナム側に伝える必要があると判断。菅氏にズン首相あての親書を作ることを提案した。しかし、菅氏は消極的な姿勢だったという。
民主党政権は震災前まで原発輸出に前向きだった。エネルギー不足に悩むベトナムは今後10基の原発建設を計画。昨年10月には、菅氏がベトナムを訪問して2基の受注にこぎつけた。