SCE流通

01/09/17up
02/03/10ver.1.1


SCE流通というと旧態依然とした任天堂流通(任天堂流通といっても任天堂が組織したものではない)に対比されて、先進的な流通機構であるといった事がよく言われる。
確かに、そうした一面もあるが、SCE流通にも大きな問題がある。語られない部分に単純な比較が出来ない理由があるのだ。

買い取り制

 ソフト会社からロイヤリティを徴収するというのは任天堂と同じ。この金額は任天堂に比べて低いとされている。 大きく異なるのはPS用ソフトはいったんSCEが買い取り、小売店に流すといったシステムをとってることだ。つまり、SCEが問屋の役割を果たしていた。
 ここで、SCEは流通マージンをソフト会社から徴収している(希望小売価格の20
%)。よって、ロイヤリティは少なくてもトータルで見れば、 任天堂と変わらないくらいの金銭をソフトメーカーから徴収しているのだ。
 また、ソフトを何本買うかはSCEの裁量に任される。よってソフトの発注量もSCEの裁量となるのだ。任天堂流通の場合、ソフト会社にソフト発注の裁量がある。
 一方で、スクウェアやコナミといった大手ソフト会社に対しては、自主流通を認めている。コナミの上月社長は「SCEのやり方には疑問を感じていたので自主流通にした。 このシステムに乗っかってしまうと自由度が非常に低くなる」と語っている。
 ワープがSCEから離反したのはこうしたシステムに不満を持ったからだった。
こうした事から、SCEは96年6月初旬に従来の方法に加え、新たにソフト会社が自由にプレス数を決定できるシステムを導入する事になった。ソフト会社がプレス数を指定し、売れ残りはソフト会社の負担となる。

リピートは速い?

 SCEの流通システムの特徴として、短い期間でCD―ROMを生産できるとも言われるが、現実にはSMEの工場で音楽CDと同時に生産されているため、最大1ヶ月程度もかかる事があるという。ひどいものでは2ヶ月かかるものもある。

リベート制

 ゲーム専門店の多くはどこかのフランチャイズに加盟している。そして、フランチャイズはSCEから流通協力費、情報協力費などといった名目で総仕入額に対して1%から6%程度のリベートを受け取っていた。
 これのおかげで、フランチャイズ本部は差益をつけずに傘下の加盟店に商品を供給し、安価なロイヤリティで企業運営を続ける事が出来た。
 しかし、2000年2月4日、SCEの営業マンはPS2の供給を条件に、このリベート制を廃止する事を通告してきた。これは、フランチャイズ企業の大動脈を立ち切るに等しい。
 元々、リベート制はSCEが持ちこんできた制度。ゲーム流通企業は初めのうち戸惑った。そして、ようやく慣れてきところにSCEの方から、一方的に廃止を宣告されたのだ。これは2階にあげてハシゴを外すとも言うべき行為だった。
 これには、流通企業も激怒した。SCEは過去に「ポケットステーション」というハードを発売しているが、そのときは契約全面改定の話などはなかった。もっとも、ポケステは初代PSのオプションでPS2とは違うという解釈も出来る。だから、これは裁判で決着をつける以外にない。
 SCEは自ら持ちこんだシステムを既存店に馴染ませ、突如としてシステム変更してきたのである。やるにしてもソフトランディングという方法もあったではないか。結局、既存店は利用されただけのようの思える。

参考文献:
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