ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
大魔王様、呆れるのこと
いやいやいやいや。落ち着け私。「これが余の発火メラだ」とか言ってる場合じゃない。やりたいしできるなら絶対やるし、死ぬほど努力する事も厭わないし、この世界の魔法が体得可能ならば絶対やりたい。

だって大魔王様だもん!!!

でも保留。使えなかったら悲しいし、今は他に聞くべき事が在る。

「最大威力の魔法の威力はどの程度になるのでしょうか?」
「私の場合は雷属性ならば縦・横・厚み8m前後の岩を破砕できるくらいでしょうか。火属性ならば、通常家屋が殆ど吹き飛び全焼するくらいかと」
「使用に掛かる一般的な時間とリーシュの場合はいかほどですか?」
「初級攻撃魔法は5秒、中級12秒、上級28秒、最大は60秒が目安となります。私の場合は初級1秒未満、中級4秒、上級11秒、最大24秒です。自惚れでなければ展開速度だけならば現存魔族最速に近いかと」

最速級魔法使いがそれくらいか。

「等級差による基礎威力の方はほぼ3倍です」
「状態異常にする魔法と状態異常回復魔法はありますか?」
「状態異常回復はありますが、状態異常にする攻撃魔法はありません」

あら?無いの?在れば有効なのに。

「浮遊や飛翔の魔法はありますか?」
「あります。浮遊は無属性初級魔法で浮かせる事ができる量は多いのですが、移動速度は全速力でも歩く速度より少々速い程度です。飛翔の魔法は風の中級魔法ですが、術者の技量により重量と速度が決まりますので、使い手の技量と魔力が大きく物を言う魔法です」

使えるのは中級でも使い手によって差が大きいって事ね。

「浮遊、または飛翔状態で魔法は使えますか?」
「可能ですが複数の魔法を同時に使うことは上級者でも至難です。飛翔しながら魔法を使えると言う者は歴史上ですら聞いたことがありません。浮遊ならば浮いている間に使うことは誰でも出来ますが、移動しながらとなると上級者のみ可能な高等技術です」

あら~・・・対空能力は低いか。まぁ予想は付いていたけどね。でなきゃワイバーンやらグリフォンを稀にとは言え、食い殺されるリスクを負って飼育するのはちょっとね。運搬の利点と言う事を考えても流石にね。浮遊の魔法と飛行する魔物のコンボで運搬するのは効率が良さそうだけど。

「前衛も単純な肉体強化くらいは当然の様に使ったりしますか?」
「肉体強化は前衛の必須技能です。一般人でもある程度は使います」

そうだろうとは思ってたけどね。底辺の質が高くて、上限が低い感じか。となると、問題は質ではなく数。そして何より供給って事ね。相対的に質は低めだけど数は馬鹿げて多い勇者達ねぇ。

本当に人間臭いなぁ。

質は勿論だけど、数と補給の充実による物量の優劣こそが戦争の本質って物だよねぇ。核爆弾の様な理不尽なジョーカーを除いてと言う話だけど。

「リーシュの肉体強化はありで、攻撃魔法を使用しない場合の接近戦で使用する武器と総合力はいかほどでしょうか?」
「オリハルコン製のナックルガード付きファイティングナイフを逆手で二刀により、刃と体術の複合技を主体に投擲用の大きい針と金属糸を使います」

オリハルコンって超高価と聞いたばかりだけど、流石は魔王直属メイドって事かな。

それにしても本当に暗殺者臭い得物だね。機動力、隠密性、対応力、急所を狙う事を前提とした殺傷力しか考えて無いっぽい。この無表情狐耳メイド、超怖いんですけどー・・・とか思う所だね。普通の人なら。

針と糸は兎も角として、ナイフは何処に隠しているのだろう?大き過ぎる爆乳にはなっていないけど、巨乳と言えるそのやたらと形の良い、自己主張の強い双子山をメイド服の範囲で限界まで強調した白磁の谷間からニュルッと?

「接近能力のみですと、全魔族中で20位前後ほどかと。やはり専門家のトップクラスには劣ります。回復・補助魔法も含め、接近格闘も苦手ではありませんが、私は攻撃魔法の高速起動を最も得意としておりますので」

勇者と同じで高水準万能型に近いって事ね。

「不都合が無ければナイフと、ナイフを本気の全力で振っている所と、蹴り技も使えるなら見せて貰えませんか?」

できればパンチラしてください。

って言うかしろ!!!

「承知致しました。ナイフによる斬撃とナックルガードでの打撃より蹴り技がやや得意ですのでまずは蹴り技をお見せします」
「回し撃は分りますか?」
「はい」
「前言修正です。動きの質を見て予想と実際の誤差を修正したいだけなので、ナイフは振らなくて良いです」

ナイフ振ってもパンチラしないでしょ!

私は食事をして居る時からずっとベッドの上に腰を掛けて、狐耳メイドを見上げる形だったけど、パンチr・・・動きの質をしっかりと見る為に立ち上がる。

「左右のロー・ミドル・ハイキックと成人した人間の男性の喉を狙う積りで左右の横蹴りをお願いします。魔力強化ありの全力でお願いしますね」
「はい」

狐耳メイドは少し下がり、私から距離を取る。

「いきます」

まずは左右のローキック。腰のひねりと共に花の様に開くスカート。パンチラしない。

次に左右のミドルキック。ギリッギリでパンチラしない。いいね!ギリギリなのが良い!いきなりパンチラしてはつまらないからね!このギリギリ感が良いんだ!

お待ちかねの左右のハイキックから成人男性の喉を狙うほど足を振り上げた4連蹴り!!

腰と足の回転と運動の度にヒラヒラのミニスカが舞い上がりパンチラするぅー!とっても凝った刺繍のアダルトなデザインの純白だー!

うみゅ。眼福でした。

思考速度を最大加速させてみたけど、実にゆっくり見えちゃった。4回もナイスアングルで。なんかだかゆっくりナイスアングルで見え過ぎてパンモロになっちゃったのが残念。

パンモロは嬉しいけど浪漫が無い!ギリギリが良いのだ!そしてギリギリからチラっと見えるのが良いのだ!それがパンチラの浪漫なり!!!

でも、かつての名残でパンチラは浪漫的な意味で好きだけど、それだけで満足する辺り性欲無いねぇ。性欲の為って言うよりは元気にパンチラしてる美少女や美女が好きなだけかな?

エロガキ的な感じ?パンチラで満足してしまう時点でオヤジではない気がする。少なくとも自覚できるほどは性欲はないもん。ふみゅ・・・・

身体は幼女!頭脳はエロガキ!それがぁ~・・・・大魔王リア!

ズギャーン!!!

パンチラと自分のシュールなネタ思考に満足していると狐耳メイドの魔力がやや高まった。

魔法を使うの?

「次はナイフをお見せします。ラン」

谷間からは出さなかった・・・・残念!

発動発声と共に現れた二振りの刃渡り40cm近くとかなり大振りで、やや肉厚。刃の表面に細かい複雑な模様がびっしり彫られたナイフが狐耳メイドの両手にそれぞれ逆手に持った状態で収まっている。

ナックルガードの部分は握っている手を完全に覆う形をしているけど・・・・それ、ちょっと凶悪過ぎないかな?ガードって言うか、斧に近い形状をしてる。相手の武器も剣とかなら折れそうだね。

完全に殴って殺害する事を前提にしてるじゃないか。斬打7:3くらいの割合で斬撲殺ですね。

「転移魔法ですか?」
「いいえ、転移魔法の下位魔法。転送魔法です」
「それは簡単なものなのですか?」
「これは簡単です。使用者ではなく、安置されている場所が魔法を使っている状態ですので、使用者は『発火』に毛が生えた程度の労力で使えます。ただし、オリハルコンの品でなくては使用できません」
「リーシュは転移魔法を使えますか?」

使えると少々面倒な事になるかもしれない。この狐耳メイドなら普通に使いそうな気がするけど。

「転移を行うには必ず誰でも基点となる品が必要となります。私は転移魔法を辛うじて使えます。ただ、自身の魔力で行えば一度でほぼ全魔力を消費します」

転移魔法にはよほど魔力を使うってことね。

「魔力結晶を使用すれば何度でも使えますが、魔力結晶を魔法を使う際に魔力として転化するには大きい魔力を内包する魔力結晶ほど時間が掛かりますし、大きさにより色が同じでも五等級から一等級までありますが、私1人が転移可能な大きさを開くのに金の四等級は必要です。金の四等級を個人で魔力に変換するには技術力で差がでますが、私の場合は15分ほど必要です」

魔力結晶は便利でも即効性については微妙か。

「現在の魔族製オリハルコン装備には必ず転送魔法を可能とする構成術式が彫られています。そして、所有者以外にはそう簡単に干渉できない様に魔法装飾されていますし、所有者が死ぬと所定の保管所に自動的に転送されます」

盗難防止って事ね。あ・・・嫌な事に気が付いちゃった。

「武器や防具は魔力を流して強化できますか?」
「基本技能のひとつです」
「それは素材の魔力伝導率で大きく性能が変わったりしますか?」
「はい。その為にアダマンタイトは魔力を流して使う場合の品にはまず使用されません。魔力運用が前提ならばミスリルの方が確実に値段、加工の手間、性能で上回ります」
「アダマンタイトよりオリハルコンの方が金属としての強靭さでは勝っていますよね?」
「鋼と比較してミスリルは1.2倍、ミスリルと比較してアダマンタイトは1.4倍、アダマンタイトと比較してオリハルコンは倍近く強靭と言われています」

武器や防具に・・・・いや、防具に回すほど無いかな?刃物に使う場合には次点と倍近い差を付ける最高金属な上に魔力伝導率も最高の金属って事ね。オリハルコンの名がもたらすイメージに沿った実にチート金属と言う事か。

「現在の魔族領のオリハルコン産出量と、現在の魔族領以外のオリハルコン産出量は分りますか?」
「現在の魔族領を10とするとそれ以外は1に届きません」

そんなものだろうね・・・・つまり。

「転送魔法が作られたのは、オリハルコン製の武器を使って負ける人間に大量に奪われ、勇者を大幅に強化してしまったからだったりします?」
「過去から現在までに魔族領で生産されたオリハルコン武器の7割は勇者陣営の手に渡って居ると思われます」

強い魔族を倒した!
強い魔族は虹(多分)の魔力結晶を落とした!
強い魔族はオリハルコン製チート武器(推定数十億円)を落とした!

そりゃ狩られるわ。めちゃめちゃお金になるじゃないか。そんなの罠でも何でも張って競って狩るわ。美味しい獲物過ぎる。

でも、脳筋だから突撃しまくってオリハルコンチート武器を7割パクられました。えへぺろ。

なんか、勇者と勇者パーティって言うよりは光の勇者なりきん勇者の素敵なパーティかねのきれめがえんのきれめって感じ?高位のオリハルコン武器持ちの魔族に集る勇者パーティが夜盗とか追い剥ぎっぽいイメージになっちゃったんですけど。

私の中にあった勇者のイメージが凄い勢いで崩壊しちゃってるんですが・・・・世知辛いね。

視点が変わればそんな物って事は分っていたけど、なんと言うか、最後にあったひと欠片の幻想が打ち砕かれた様な気分とでも言おうか。

「アホ過ぎませんか?」
「返すお言葉もありません」

魔族ェ・・・・脳筋魔族と追い剥ぎ成金勇者パーティかぁ。

・・・・・あれ?







その両方を私がなんとかするの?

評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
名前:
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。