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野田新首相:マニフェスト見直し 苦しい家計には逆行

 野田佳彦新首相は、前回衆院選の政権公約(マニフェスト)の理念は堅持する一方、民主、自民、公明3党で主要政策見直しを確認した3党合意を尊重する意向も示す。見直しの対象となる高校授業料無償化、高速道路無料化、農家の戸別所得補償の行方が気になる人も少なくない。【喜浦遊、袴田貴行】

 ◇高校授業料無償化

 青森市の理容店経営、川越清人さん(47)は公立高校無償化で「助かった」と話す。今春、公立高を卒業した長女は3年生時の学費が無償。不況で売り上げが落ち、苦しい家計に、年間約12万円が浮いたのは大きかった。中学3年生の長男が公立高進学を目指しており、妻留美子さん(44)は「子どもへの投資を継続してほしい」と話す。

 私立高校の授業料も助成で負担が軽減されている。長男が私立高に通う高知市の女性(48)は「地域経済は疲弊して給料が下がる中、ありがたい」と話すが、「今は日本の危機。助成がなくなっても仕方ない」と語る。

 ◇高速道路無料化

 鹿児島県では高速道路無料の社会実験で、東九州道など2路線の利用者が、実験開始後増えたが、6月の終了後は元に戻った。

 社会実験について鹿児島県トラック協会は7月、会員716事業者を対象に影響を調べるアンケートをした。回答は「続けてほしかった」が5割で、「復興財源確保の目的もあり、やむを得ない」が4割と割れた。協会の松本健一専務理事は「一般車両が増えるなど、無料化への評価は分かれるが、協会は営業車の特別割引制度創設の実現を求める」と話す。

 無料化は、財源不足から一部路線での無料化社会実験などにとどまり、それも今年6月で中止された。

 ◇農家戸別所得補償

 青森県十和田市の「赤沼営農組合」の沼岡晴男組合長(74)は「戸別所得補償もいつまで続くか。政権ごとに方針が変わるなら長期計画が立てられない」とため息をつく。

 組合では制度の一環で、10年から10アールあたり8万円が交付される米粉や飼料用の米の作付けを始めた。しかし、買い手が見つからなかったり、飼料米は加工費用が大きかったり「多く作れば赤字」の状態だ。販路拡大を探りながら飼料米作付けは続けるが、8万円の交付金が前提。政策転換で打ち切られるなら経営は成り立たない。

毎日新聞 2011年8月30日 22時30分

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