ついに第１号が出た　東電関連倒産　連鎖の恐怖

　恐れていた東電関連倒産がついに発生した。東京都中央区に本社がある「広放社」という広告代理店だ。

「この会社は東電絡みの仕事が約７割に上っていました。ピーク時の年商は４億円ありましたが、１０年１２月期は３億５０００万円に減少。さらに福島原発事故で東電からの広告出稿が激減しました。９月末で営業を停止し、１０月末には会社を清算するようです」（東京商工リサーチ情報部の増田和史氏）

　事業継続しても、東電からの発注が増加する見込みはなく、会社清算を選択するしかなかったのだろう。東電に絡む“倒産”第１号ということになる。市場関係者は、「今後、こうした関連倒産が急増するのではないか」と気を揉む。

　東電の有価証券報告書によると、子会社や関連会社などグループ会社は２５８社に達している。厳しい状況に置かれている会社も少なくない。

「東電におんぶに抱っこだったグループ会社の中には業績が悪化しているところもあります。経費削減など東電のリストラのシワ寄せをモロにかぶっているから深刻です」（市場関係者）

　主なグループ会社を別表にまとめた。最悪の事態は免れても、東電の資産売却によりグループから離れる会社が続出しそうだ。グループ会社には老人ホームやリゾート施設、人材派遣などがある。こうした業態は東電と離れることで主要顧客を失いかねない。

「今回、会社清算する広放社のように、グループに属していないものの東電の仕事が大半を占める会社はもっと危ない。特に本業と遠いところにある広告などサービス業の連鎖倒産が心配です」（増田和史氏）

“東電関連倒産ラッシュ”が始まったら、どん底景気はさらに冷え込むことになる。

【東電の主なグループ企業】

◆社名／売上高／業種

◇関電工／４１５５億７６００万円／建設

◇日本原燃／２８５５億３２００万円／サービス

◇日本原子力発電／１４４５億１６００万円／電気・ガス

◇相馬共同火力発電／８９２億３５００万円／電気・ガス

◇常磐共同火力／７１１億９２００万円／電気・ガス

◇君津共同火力／５７５億７５４３万円／電気・ガス

◇東電工業／５７３億６２００万円／建設業

◇鹿島共同火力／５３６億５４００万円／電気・ガス

◇テプコシステムズ／４６１億５２００万円／情報通信

◇高岳製作所／４０５億８０００万円／製造業

◇東電不動産／３９７億７５００万円／不動産

◇東電ホームサービス／３６８億４４１９万円／サービス

◇東電環境エンジニアリング／３５８億円／サービス

◇東光電気／３０６億２９００万円／製造業

◇アット東京／２４８億３００万円／サービス

◇東電広告／２２６億４７８３万円／サービス

◇東電設計／２０３億７９６１万円／サービス

◇東京電設サービス／１６９億９３８１万円／建設

◇南明興産／１５８億３９５７万円／運輸

◇東京リビングサービス／１４１億４７３５万円／不動産

※東京商工リサーチの資料から

（日刊ゲンダイ2011年9月7日掲載）