韓国軍:妨害に弱い商用GPSを使った装備多用
敵味方の位置を混同すると大問題
韓国軍「予算の問題で軍事用を購入できず」
今年3月に行われた韓米合同軍事演習「キーリゾルブ」の期間中、米軍の偵察機が、北朝鮮軍が放射したGPS(衛星利用測位システム)妨害電波を浴びてGPSの運用障害を起こし、緊急着陸していた事実が最近、明らかになった。
当初、韓国軍は「北朝鮮のGPSかく乱攻撃により、一部の砲兵装備や民間の装備に異常が生じたにとどまり、さほど問題はなかった」と発表していた。一部地域の携帯電話が不通になった程度で、被害は小さかったと発表したわけだ。しかし、米軍の偵察機をはじめ、韓国海軍の沿岸警備艇や高速艇のGPSにも異常が発生していた事実が最近になって明らかになるなど、韓国軍の発表内容の信頼性に対し疑問が提起されている。
特に、韓国軍の各種兵器や装備の中には、商用GPSを用いているものが、当初知られていたよりも多いことが分かり、対策の整備が急がれると指摘されている。商用GPSは妨害に対し事実上、打つ手がない。
国会の国防委員会に所属する安圭佰(アン・ギュベク)議員(民主党)が国防部(省に相当)から提出を受けた資料などによると、旧型のF5戦闘機から次世代型戦車K2(通称・黒ヒョウ)、地上戦術C4I(指揮統制)装備、KT1基本練習機、新型214級潜水艦、次期護衛艦に至るまで、陸海空軍の新旧各種装備で商用GPSが使われている。
韓国軍の戦略攻撃兵器に当たる韓国製地対地ミサイル「玄武」や韓国製対艦ミサイル「海星」、首都圏を脅かす北朝鮮の長射程砲への対策として開発が進んでいる韓国型滑降誘導兵器キット(KGGB)にも、商用GPSが使われている。韓国軍の「目」から頭脳、中枢神経、そしてパンチに至るまで、商用GPSを組み込んだ装備が広く用いられているわけだ。
韓国軍消息筋は「T50など一部の装備を除き、韓国で開発された装備類はほとんど商用GPSを使っていると見ていい。これは、米国製の軍用GPSを導入すると、時間や予算が余計にかかるため」と語った。
これらの装備が北朝鮮からGPS妨害を受け、障害が発生したら、ミサイルが別の場所を攻撃したり、指揮官が状況板で戦場の敵味方の位置を混同しかねないという問題が生じる。
このため韓国軍当局は、ミサイルの場合、GPSのほかに慣性航法装置(INS)や熱映像装置・先端レーダーなどを活用、GPSかく乱時にはほかの誘導装置を使うようにするとともに、商用GPSは妨害が通じない新型軍用GPSへと段階的に切り替えていく計画だ。また有事の際には、強力な電磁波を浴びせかける電磁パルス(EMP)弾を使い、北のGPS装備を無力化したりジャミング(電波妨害)をかける案もあるという。
ユ・ヨンウォン記者