ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


【赤木智弘の眼光紙背】放射性物質を遠ざけられれば、それでいいのですか?

眼光紙背

赤木智弘の眼光紙背:第192回


 かつて原発を押し付け、さらに原発事故で被害を被った人たちに、また放射性物質を押し付ける。それは原発行政が地方に強いてきたことの繰り返しではないのだろうか。

 かつて、原発建設に反対をしていた人たちは、そうした都市と地方の不平等に関する問題意識も包有していたはずだ。なぜ今こそ反原発の本当の意味を、放射性物質をとにかく遠ざけようとしかしない人たちに伝えようとしないのだろうか。原発や放射性物質に対する忌避感を土台にして高まった反原発志向は、私たちの社会にとって幸せな志向なのだろうか? 私は疑問に感じている。


 私は細野大臣の発言に対して「分かち合うのは当たり前だ」と言いたい。それを当たり前と考えなければ、具体的な計画など進みようがない。具体的な政策を決めるのにしても「福島にだけ、放射性物質を押し付けない」というビジョンがなければ、今回のように、人々は福島を放射性物質の廃棄所として扱うことに、悪びれもしないだろう。


*1:「放射能汚染がれき」の最終処分地は? 「福島県外で」と細野大臣が述べた理由(ニコニコニュース)http://news.nicovideo.jp/watch/nw101760
*2:【浜岡原発停止】人も金も街から消え…「地元経済は壊滅だ」原発城下町・御前崎、覆う悲壮感(MSN産経ニュース)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110510/lcl11051000030000-n1.htm

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ)

1975年生まれ。自身のウェブサイト「深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。著書に「若者を見殺しにする国 (朝日文庫)」など。


12

コメント / 簡単コメント | みんなのコメントを見る(17)

注目のテーマ

「死の町」発言が波紋

鉢呂吉雄経産相が、視察した福島第1原発周辺を「死の町だった」と語ったことを陳謝した。

原発事故で問われる「食の安全」

武田邦彦教授が、東北産の食品を「出来るだけ捨てて」とテレビで言及したことが波紋を呼んでいる。

たばこ増税、1箱700円も視野に

小宮山洋子厚生労働相がたばこ増税を示唆。700円までは値上げしても税収が減らないという。

BLOGOS 編集部

» 一覧

BLOGOSをスマホで見よう

スマートフォン版
アプリ版BLOGOSをダウンロード(無料)
ケータイ版
QRコード
携帯サイトのQRコードはこちら
http://m.blogos.com/

BLOGOS メルマガ

震災復興 関連情報

close なぞり検索

検索リスト

この機能をOFFにする