なぜ若者はテレビ離れしているのか、制作会社から見たテレビの現在
●視聴率至上主義がもたらす悪循環
番組制作の環境を悪くしているのは、こうした経済的要因だけではない。それは番組視聴率だ。日本の民放テレビが、企業などのスポンサーシップによって成り立っている以上、その番組が1人でも多くの人に視聴されるようにすべきことは言うまでもない。
しかし、そのことが番組制作の自由度を著しく低下させ、結果的に「最近のテレビは面白くない」と言われる状況を招く一因になっているのではないか。その辺の事情について、霜田さんは次のように説明してくれた。
「テレビ番組は、私が関わるドラマに限らず視聴率をとることが目的で制作されます。テレビ番組がほかの映像コンテンツと異なる点はまさにここにあります。テレビ以外の映像コンテンツは、コンテンツそれ自体を購入してもらうことで成り立っていますが、テレビ番組は不特定多数のお客をたくさん集めて、そこで広告を見てもらうことで成り立ちます。
そのため、単一の個人の価値観に賭け、作家性を追求するというアートとしての側面は失われ、ボリュームゾーンを狙った個性の薄い作品になってしまう傾向があるのは事実です」
霜田さんによれば、今や深夜帯のドラマでもF3層※をとらえないと視聴率は取りづらく、とがった番組は作りにくいのだという。
※個人視聴率の集計区分の俗称で、F1=20〜34歳女性、F2=35〜49歳女性、F3=50歳以上女性。20代から40代の働き盛りの男性のテレビ離れが進行する一方で、熟年層以上のテレビ依存が強まり、全体として見るならば、1日当たりテレビ視聴時間は停滞ないしは漸減という傾向を示している。「深夜帯のドラマでもF3をとらえないと視聴率が取りづらい」というのは、そのことに起因している。
そして、こうしたとがった番組を作れないことが、若い世代のテレビ離れを一層加速させているのだと霜田さんは嘆息する。
「現代はWebの発展によって、どんなテーマでも深く掘り下げていくことができますし、それが若い世代の当然のニーズでもあるわけですが、日本のテレビはそうした環境変化に適合できないのが現実です」
●若い人材が定着しにくい苛酷な業界環境
産業としてのライフサイクルが成熟期を迎え、やがて衰退期に移行していくことが明確になった時、一般の企業や業界においては、イノベーションを喚起することで「脱・成熟化」を断行し、新しいライフサイクル曲線に乗り換えることで生き残りを図る。
そしてそのカギを握るのは、言うまでもなくイノベーティブな若い人材であり、それを育て生かしていく組織能力である。しかし、日本のテレビ業界を現場で支える番組制作会社を取り巻く環境は、こうしたイノベーションを創発できるような状況にはなさそうだ。
「新卒(4大卒)を10人採用しても、入社式の時点で早くも7人に減っていたりします(笑)。それが3カ月後には5人に減り、3年後には誰もいなくなっていたりするんですよ。3年後でも全員残っている年次もありますから一概には言えないのですが、それにしても若い人材が定着しにくい業界であることは間違いありません。仕事の大変さの割にギャラが少ないことや、彼らにとっては第1希望であっただろう民放キー局との待遇の差が直接的な原因でしょう。この業界は、本当に“好き”じゃないと続かないのです。一般に女子の方が長く続く傾向があります」
このように述べる霜田さん自身も、そうした環境の中で生き残ってきた1人であり、その人生行路を知ることで、業界の厳しい状況を実感することができる。
1961年に生まれた霜田さんは、広告のスチールカメラマンになりたくて東京工芸短大に進学。在学中は、宣伝会議に通って勉強を重ねたほか、電通のラテ局でアルバイトに励んだという。
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