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野田首相の「アキレス腱」

たむたむの自民党VS民主党

では、「どじょう内閣」の「アキレス腱」となる可能性があるのは誰なのか。

衆目の一致するところ、「アキレス腱」の一番手は山岡国家公安委員長だ。

国会でまず俎上に載せられそうなのが、党の使途不明金問題。小沢氏が民主党代表だった2006〜08年に、党財務委員長だった山岡氏らに計約22億円の「組織対策費」が支払われたが、その使途は不明だ。

また今回、山岡氏は消費者担当相も兼務するが、かつてマルチ商法(連鎖販売取引)関連業界との関係が取りざたされた。08年には、山岡氏ら民主党議員5人の政治団体が過去6年にわたってマルチ関連団体から講演料などとして総額約4千万円を受け取っていたことなどを、自民党が指摘した。

「山岡さんを閣僚にしたら、野党から徹底追及されるのは目に見えている。野田さんは小沢さんに配慮した結果、時限爆弾を抱えてしまった」(主流派の議員)

専門知識不足に加えて、舌禍の恐れあり、とされるのが安住財務相だ。

「威張りたがる人で、目下の者にはすぐ怒鳴り散らす。プライドの高い財務官僚とうまくやっていけるとは、とても思えません。また発言が軽いので有名で、テレビの討論番組で他党の先輩議員から『君は軽すぎる』と叱られたこともありました」(在京キー局記者)

「横柄な物言いが過ぎて、国対委員長時代に亀井静香さんから『安住はバカだ』と言われ、国対幹部からもあきれられて、野党との調整もままならなかった」(民主党幹部)

平野博文国対委員長も怖い。鳩山内閣の官房長官時代に米軍普天間飛行場移設問題に関し、「(移設反対候補が当選した)名護市長選の結果を斟酌しなければならない理由はない」といった不用意発言を連発した。

野田首相自身も実は危うい。財務相時代の今年3月、元暴力団男性の関連会社から計80万円の政治資金を受けていたことが表面化。9月3日には、01〜03年にかけて、地元の千葉県船橋市の在日韓国人から計約16万円の献金を受けていたことが明らかになった。

どう見ても暗雲垂れ込める船出だが、「どじょう内閣」をどんな未来が待っているのだろうか。

菅降ろしに邁進してきた自民党幹部は、野田政権への警戒感をあらわにする。

「民主党が3党協議を丁寧に進めれば、第3次補正予算は順調に成立するし、来春まで与野党協調路線が続く公算が大きい。衆院解散が遠のくと、今度はウチの党内がガタガタしてくる。谷垣禎一総裁にとっては厳しい流れだ。反転攻勢をかけるにはスキャンダルが噴出するしかないな」

新政権の命運を左右するのはやはり「アキレス腱」がどうなるかなのである。

前出の伊藤氏は、政策面でのズレが禍根を残すのではないかと見ている。

「野田首相と前原誠司政調会長は、復興の財源についてすら考えが合わない。政権発足時点で政策面のひずみが生じているのに、今後どうやっていくのでしょうか。党内のバランス維持に汲々とするあまり、不平不満や要求を正直に吸い上げすぎて、目詰まりを起こしそうな予感がします」

増税シフトと小沢氏への配慮という野田政権の二つの要因が、いずれは衝突すると見る専門家もいる。前出の野上氏が言う。

「来年度予算の編成が始まると、増税やマニフェスト見直しの問題が持ち上がる。増税でひた走れば、小沢が山岡らを使い、閣内不一致だと騒がせるだろう。野党も来年度予算では妥協しない。まさに前門の自公、後門の小沢となる」

松下幸之助翁は、松下政経塾の塾生を選ぶにあたり、「愛嬌と運のある人間を選んでくれ」と面接官に言ったという。

幸之助翁の眼鏡にかなった野田首相の愛嬌と運がいつまで続くのか。池や沼で暮らすどじょうが、険しい外海を泳ぐのは、けっして楽ではない。(本誌取材班)
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