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日本電産トーソクの秘訣、ベトナムパワーを駆使(4) - 11/07/29 | 12:13



成長を支える人材が足りない

 「トーソクを中心に、電気自動車などのメインモーターをやっていきたい」と永守会長。モーターなど電子部品を製造する日本電産グループの中で、自動車部品を得意とするトーソクは、今後に向けて重要なポジションにあるといえる。

 そんなトーソクが抱えるいちばんの課題といえるのが、人材だ。ベトナム工場の増強や中国工場新設、新規案件の受注など急速な戦線拡大を支える人材がまだまだ足りない。

 「売上高300億円では街の中小企業とあまり変わらない。従業員はつま先立ち状態で余裕がない」(村田社長)

 社長を筆頭に執行役員8人のうち半数以上が、ここ数年で日産から移ってきた人物。ある役員の平均睡眠時間は3〜4時間といい、毎週行われる役員会は午後一番に始まり、深夜に及ぶことがザラだ。

 昨年採用した人材は新卒・中途採用含めて60人以上。単体の従業員580人の1割近い人材を採用したが、成長スピードについていけない従業員も多いとみられる。

 ベトナム工場での定着率の低さも頭の痛い問題だ。離職率は月7〜8%と高水準で推移。リーマンショック後の大量退職で班長クラスを失った混乱を埋めようにも、人の入れ替わりが激しく、なかなか現場に技術力が定着しない。

 そこで11年2月、工場内に大掛かりな研修施設を造り、班長クラスを対象にした“モノづくり力”の底上げ研修を徹底している。また離職率を少しでも下げるため、社内美男美女コンテストや運動会、バス50台を借りて社員2000人による社員旅行を実施するなど、社内外の施策を積極的に行っている。

 4月下旬に公表した11年度の会社計画は、震災の影響を織り込み、前年度横ばいの売上高300億円、営業利益40億円、営業利益率13・3%。取引先からの値引き圧力が熾烈を極めている中、高収益体質を維持する姿勢に何ら変わりはない。今年はベトナムでの原価低減活動に一層、拍車がかかりそうだ。

日本電産トーソクの業績予想、会社概要はこちら

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(松浦 大 =週刊東洋経済2011年7月16日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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