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日本電産トーソクの秘訣、ベトナムパワーを駆使(2) - 11/07/29 | 12:13



精密な変速機部品をベトナムで9割超生産

 トーソクの収益力はなぜ高いのか。その理由は、精密なコントロールバルブの生産において、9割以上に当たる年間180万個超をベトナムで生産しているところにある。

 オートバイでごった返すホーチミン市の中心部から、車でわずか30分の好立地にある主力工場。出荷港のあるサイゴン川を目の前にし、敷地面積5・1万平方メートルに工場6棟が並ぶ。従業員は3300人、平均年齢は24歳で、8割が女性だ。

 トーソクは1949年に設立、52年に日産自動車グループ入りして以来、計測機器など、精密測定の技術で名を馳せてきた。ベトナムに進出したのは94年、日系企業としては4番目の早さだった。当初は、山梨工場の補完的な位置づけで、労働集約型製品の自動車用ワイヤハーネスを生産していた。

 その後、カルロス・ゴーン氏による系列解体の余波を受け、97年に日本電産グループ入り。トーソク会長に就任(兼務)した日本電産の永守重信社長は、ベトナム人労働者の勤勉さや集中力の高さに目をつけ、量産品の生産についてはベトナムを主力工場とする方針に移行する。このトーソクでの経験が、後に日本電産グループがベトナムに大規模な生産拠点を構えるきっかけとなった。

 トーソクは計測機器で培った精密品加工のノウハウをベトナムに注入。ワイヤハーネスに続き、スプール、モーター、電磁弁と徐々に複雑な製品を立ち上げ、02年にAT、04年にはCVTのコントロールバルブの現地生産を開始した。

 機械加工や組み立てについてはせいぜい半自動化にとどめ、安い人件費を武器に設備投資を圧縮している。一方で、精密検査や品質保証体制には人海戦術を導入。「ベトナム人の目のよさは驚異的。ダイカストの品質不良を発見する能力では日本人を凌駕している」(飯嶋嘉隆・取締役執行役員)。

 コントロールバルブの場合、ダイカスト搬入時、部品組み付け時、出荷前にそれぞれ目視による全量検査を行っている。複雑な製品も、徹底的な全量検査をすることでベトナムでの生産を可能にした。

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