少年院の少年ら、被災地でボランティア
シリーズ「あの日から半年」です。東日本大震災は罪を犯した少年少女たちが更生生活を送る少年院にも爪あとを残しました。被災者のためにできることは何か。少年院で震災を体験した少年少女たちが今、自ら被災地で新たな一歩を踏み出そうとしています。
「まだこんな状況だよ。6か月経つのに」( 教官)
津波で全体のおよそ60%が浸水した仙台市若林区。バスに乗っているのは、仙台の少年院に入所している少年(20)です。窃盗の罪を犯し、少年院に入るのは2度目です。
「あれ、がれきの山ですか?うわすげぇ・・・」(少年)
少年たちは先週初めて、被災地の惨状を目の当たりにしました。
「すごくショックを受けました。現実として受け止められてなかったし、こんなことがあるのかと思ってはいたんですけど・・・」(東北少年院 少年、「窃盗」で2回目)
宮城県仙台市にある東北少年院。覚せい剤や窃盗などで逮捕された少年が更生生活を送っています。津波の被害こそなかったものの、教室の天井が崩れ落ち、地盤が沈むなど少年院も地震によって大きな被害を受けました。
「地震の後、水道が断水してしまいましたので、井戸水を使って、水道の代わりにしているという状況です」(東北少年院 寺島 鑑 法務教官)
自由はなくても衣食住は保障されている少年院での暮らし。一方で、少年院の外では今も多くの人が避難生活を続けています。
「自分たちが生き残って、一生懸命している人たちが亡くなったので、すごい申し訳ない気持ちでいっぱいで、ここでの生活で自分たちに何ができるかと」(17歳少年)
「何とか被災者の力になりたい」。少年たちからの自発的な強い要望は初めてのことで、異例の被災地でのボランティア活動が実現しました。
「こういうクリップのここの間が、ものすごい泥が入っているから・・・」(教官)
彼らが洗っているのは泥まみれの缶詰。石巻市の水産加工場から津波で流されたものです。被災者が助けを待つ間、飢えをしのいだというこの缶詰は今、「希望の缶詰」として全国に販売されています。
「すごく助かります。あの数を全部しなくちゃいけないと、人数が多ければいいけど・・・」(ボランティア先の女性)
被災地でのボランティアに名乗りをあげたのは少年だけではありません。仙台市の女子少年院、青葉女子学園の少女たちも津波で1階部分が使えないままになっている老人ホームの清掃作業を始めています。
「なんかここ、泥がすごいね」(教官)
「ここ一番泥がすごい。跳ねるところだったのでは」(青葉女子学園、18歳少女)
少年院の中では見ることがなかった津波の生々しい爪あと。目には見えない津波の泥は、床や壁に染みついていて、なかなか落とすことができません。
「車椅子に乗ったおばあさんが来て、『懐かしいねぇ』って言って帰っていったのを見て、『あぁ、ここに住んでいた人、ちゃんといるんだ』と思ったら、早く戻してあげなきゃと思って、頑張ろうって」(青葉女子学園、16歳少女)
ボランティアに出て、初めて実感できた「誰かのためになりたい」という思い。少女たちには徐々に変化が見られるといいます。
「『感謝されること』がやっぱり今まで経験のない人たちが多いので、『ありがとう』そのひと言で、ずいぶんこの子どもたちは変わったのではないかなぁと思います」(青葉女子学園 小國万里子 法務教官)
少年たちがこの日洗った缶は100個以上。泥だらけだった缶詰は、少年たちの手で「希望」へと生まれ変わり、全国に届けられます。
「ものすごく疲れましたけど、『ありがとうございます』って言われると、すごくうれしいです」(東北少年院 少年、「窃盗」で2回目)
「やぁすごいなぁって、達成感がありました」(東北少年院 17歳少年、「窃盗」で2回目)
「また機会ありましたら、ぜひお願いしたいと思いますので」(ボランティア先の男性)
「ありがとうございました!」(少年たち)
「頑張って売りますので!」(男性)
震災からまもなく半年。「心」「絆」「1人じゃない」。今も被災地から遠く離れた全国各地の少年院から応援のメッセージや千羽鶴が寄せられています。
「人を信じようと思ったことがなくて、暴力を武器にしていろいろな人とにらみ合った生活しかできなかったんですけど、震災が起きて人は人と協力し合わないと生きていけないと、強くその時、感じました」(東北少年院 17歳少年、「窃盗」で2回目)
「ただ見ていることしかできない。すごく苦しかった。だから二度と同じことしないで、こういうふうになった時は、誰かのそばにいてあげられるような人になりたい」(青葉女子学園 16歳少女)
震災は少年たちの心に、少しずつ変化をもたらし始めています。(08日20:41)
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