「メルトダウン防げた」専門家チーム分析
原子力に詳しい学者やメーカーのOBらの専門家チームが、福島第一原発のデータを分析し、見解をまとめました。その内容は、「津波によって停電しても、適切に対応していれば、メルトダウンなどの深刻な事態には至らなかった」というものでした。
福島第一原発を襲う巨大津波。1号機でも全ての交流電源が無くなりました。危機的状況の中、最後の頼みの綱の出番の筈でした。その名も、非常用復水器、通称IC。原子炉内の蒸気をタンクに溜めた冷却水の中を通して水に変え、炉に戻す、いざという時の装置です。
北海道大学の奈良林直教授やメーカーOBら全国34人で作る専門家チームは事故後、国や東京電力から公表されたデータを独自に分析。その結果、この1号機のICで次の事態が起きていたと分析しました。
「津波によって制御盤がダウンし、その際、誤った信号を出したため、機能が停止してしまった」「停止に気付き、再び午後6時過ぎに再起動するまで2時間以上かかり、この間に炉心が損傷し、メルトダウンが始まってしまった」。つまり、頼みの綱がうまく機能していなかったのです。
現場の責任者である福島第一原発の吉田所長は、ICが停止していることを知らずに復旧計画を立てていたことが明らかになっており、初動段階でのミスが致命的になったと専門家チームは見ています。
「津波が来て全交流電源が喪失した状態で、(非常用復水器を)目いっぱい使いなさいと指示があれば、原子炉の溶融を防げたかも・・・、本当に残念です」(北海道大学【原子炉工学】 奈良林 直 教授)
奈良林教授らは、こうした対応のまずさが1号機から3号機の重大な事故につながったと見ており、「津波によって全ての交流電源が無くなっても、適切に対応していればメルトダウンや水素爆発などの深刻な事態には至らなかった」と結論付けています。
今回の研究結果に関し、東京電力は「仮定の話なので答えられない」としています。(09日17:08)
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