深夜番組「バースデイ」を観てしまった。
「単独無酸素エベレスト挑戦第２章 生と死の狭間で…壮絶結末」
冒険家栗城史多さんのエベレスト挑戦の番組の２週目です。
予想通り、放送時間２２分のうち、最初の２分間で前回の総集編を繰り返しました。
そして、ついに今日の放送の開始です。
（セ）「栗城は、過酷な登山の様子を自ら撮影しながら登る」
セレブレーター東山紀之さんが語ると、再び先週の放送を繰り返しました。まあ、当然、内容としては先週の放送までで、冒険は終わり、結果としてＣ３に辿り着けず、戻ってきていますので、今週、それをどう引き延ばすかに興味がありました。まあ、おやじさんの温泉を引いたくだりはやらないでしょうが。
（字幕）「危ない」「危ない危ない」
（字幕）「一人なんで荷物をあげるのが大変だ」
栗城さんの撮影した登頂シーンをフラッシュバックしながら、栗城さんの会話を字幕で表示。しかし、どこなのかさっぱり分からない。これも、先週放送の一幕。
（セ）「一体なぜ、撮影に拘るのか、そこには栗城の登山に賭ける強い思いがあった」
（字幕）「これもエンターテイメントだと思っている」
（字幕）「登山っていうのも 僕の中では」
（字幕）「なんでそんな苦しい思いをしてまで登るのかっていうところを
登山に全く興味の無い人たちに届けるっていう」
栗城さんにインタビューした登山にかける思いを述べたＶＴＲを映した。（３分）
（セ）「栗城には２年前から準備した究極の野望がある」
（セ）「それは単独無酸素でのエベレスト登頂」
（字幕）「単独無酸素でのエベレスト登頂」
（セ）「これまで成功したのは、イタリアの登山家メスナー唯一人という世界的な偉業だ」
（字幕）１９８０年
（字幕）ラインホルト・メスナーが世界で初めて単独無酸素でのエベレスト登頂に成功
おいおい、これも先週やったじゃないですか。
（セ）「１９８３年、ニッポン人の吉野寛さんが４人のグループで挑み、無酸素で頂上まで辿り着いたが、下山中、不幸にも亡くなった」
（字幕）１９８３年
（字幕）吉野寛さんが４人のグループで挑み無酸素でエベレストに登頂
（字幕）「下山中に滑落死・・・」
（セ）「生前、吉野さんがこんな言葉を残している」
（セ）「８０００ｍの空気をボンベで３０００ｍの空気にしてしまうのなら、大金と時間を費やして、８０００ｍ峰に挑む意味などあろうか？」
（字幕）「８０００ｍの空気をボンベで３０００ｍにしてしまうのなら、
大金と時間を費やして８０００ｍ峰に挑む意味などあろうか？」
（セ）「標高７５００ｍを超すと、空気に含まれる酸素は、地上の３分の１になる」
（字幕）「標高７５００ｍ以上になると酸素量は地上の３分の１」
（セ）「この領域を登山家は“死の地帯”、“デスゾーン”と呼ぶ」（４分）
（字幕）「死の地帯」「デスゾーン」
あれれ、ここも先週繰り返しやっていました。
（字幕）エベレスト 標高８８４８ｍ
（セ）「その“デスゾーン”に酸素ボンベも持たず、しかも単独で登るのは、余りに危険すぎるという専門家も少なくない」
どうやら、今回の失敗のいい訳？！、無謀な取り組みだということを強調したいらしい。
ここで、専門家のインタビューＶＴＲが流される
日本ヒマラヤ協会会員 大内 倫文
「まあ、ひとつのパフォーマンスだよね」
「我々から見れば」
「ヒマラヤを何度も登ってる人から見ると」
「「なんだ、ふざけるな」という考えを持つ人も」
「いるんじゃないかと思うんですけれどね」
栗城さんのトレーニング模様の映像に変わる。
（セ）「だが、そんな声に栗城は・・・」
栗城さんのインタビューＶＴＲに変わる。
単独無酸素でエベレスト登頂を目指す
栗城 史多（２７）
「でも、僕は、決して不可能じゃないと思いますし」
「常にチャレンジしていっていう」
「人が行き着けないところに行ってみたいっていう」（５分）
ここでようやく、エベレスト登山の映像に変わる。
（字幕）２００９年９月２２日
アタック１日目
（セ）「そして昨年９月２２日、ついにその日がやってきた」
午前６時３０分
ＡＢＣ（ベースキャンプ）を出発
「行って来ます」
出発の映像を一瞬だけ映したが、すぐ、今度はエベレスト登頂の道のりを図説にて説明する。
（字幕）標高６４００ｍ地点
ＡＢＣ（ベースキャンプ）
頂上８８４８ｍ
（セ）「今回、栗城が挑むルートは、６４００ｍ地点にある“ＡＢＣ”と呼ばれるベースキャンプをスタートし、まずはエベレストの北側に回る」
Ｃ２（第２キャンプ地）
Ｃ３（第３キャンプ地）
Ｃ４（第４キャンプ地）
（セ）「そして、ここから８８４８ｍ頂上を目指す」
「これは、単独無酸素登頂を成功させたメスナーと同じルートだ」
（字幕）４日後 登頂の予定
（セ）「標高差は２４００ｍ、順調に行けば、４日後には頂上に着く」
撮影隊が出発する映像を映す。
（セ）「撮影専門のスタッフが、後を追いかける」
「７０００ｍのキャンプ地まで登り、栗城を撮影するためだ」
ここで、栗城さんのことを支える森下亮太郎さん（３２歳）のテント内の映像に変わる。
（セ）「ベースキャンプには、重要な役割を担う男が待機する」
この一言を入れると、今度は森下さんの経歴紹介のため、森下さんが登山する様子の映像に変わる。
登山家 森下亮太郎（３２）
（セ）「登山家、森下亮太郎、大学の山岳部の先輩で、栗城の挑戦をサポートするために、共にトレーニングを積んできた」
今度は、ＰＣを打ち込む様子の映像に変わる。
（セ）「登山の進み具合を冷静に判断し、無線で指示を送る」
「栗城の命運は、森下の手にかかっていると言っても過言ではない」
再び、栗城さんの登頂シーンに変わる。（６分４１秒）
（セ）「栗城がカメラを回しながら登って行く」
「２０ｋｇの荷物を背負って、壁を登るのは大変」
登頂中の自らのカメラに向かって話す、栗城さんのコメント映像を流す。
（セ）「出発から５時間」
「テント場が見えてきた」「ふう〜ふう〜」息絶え絶えの会話。
「いや〜すごいです」
Ｃ１（ノースコル、正確には７０４０ｍ地点）に到着する直前の栗城さんの映像を映す。
（字幕）標高 ７０００ｍ
この日のキャンプ地（ノースコル）に到着
（セ）「この日のキャンプ地、標高７０００ｍにあるノースコルに到着」
「え〜、１１時半に無事にノースコルに着きました、どうぞ」
栗城さんが、森下さんと交信しています。
「了解です」
「ゆっくり休んで水作って飲んでください」
「お疲れさまでした」
森下さんからの指示の交信が流れます。
ここで、９月２２日まで、栗城さんは、ここノースコルには、９月１２日、１３日、１４日と、すでに３回訪れております。この点は、一切、触れておりません。
(セ）「初日は、順調にクリア、体調も悪くない」
「ドーンとエベレストが見えるわけですね」
栗城さんが、山頂部に向かって撮影しながら、語っています。（７分３５秒）
（字幕）９月２３日
アタック２日目
（セ）「アタック２日目、標高７７００ｍのキャンプ地を目指す」
（セ）「そして、いよいよ、空気中の酸素が、３分の１になる“デスゾーン”になる」
（字幕）「標高７５００ｍ「デスゾーン」に突入」
（セ）「栗城は、空気のあきらかな違いを感じていた」
「かなり標高が高くて、相当息苦しいです、どうぞ」
栗城さんの森下さんへの交信です。
（セ）「身体が悲鳴をあげる」
（字幕）標高７７００ｍ
Ｃ２（第２キャンプ地）に到着
（セ）「それでも、何とかキャンプ地に到着」
映像は、風が吹きすさぶ中、栗城さんが張った黄緑色のテントとその横に栗城さんがいる様子に変わる。
（セ）「激しい風に飛ばされないよう、慎重にテントを張った」
「ひどく疲れました」
「寒いです」
栗城さんは、無酸素による登頂なので、このテントで身体を休めることはあっても、“デスゾーン”に入ったこの地で眠ることができません。
しかし、このことは、今回も一切触れられませんでした。
（字幕）２００９年９月２４日
アタック３日目（８分３１秒）
（セ）「そして、アタック３日目」
映像が、ＡＢＣに変わる。
（字幕）ＡＢＣ（ベースキャンプ）
無線交信
「Ｃ２栗城 取れますか」（森下さん）
「おはようございます」（栗城さん）
「今日のルートですが、グレート・クーロワールまで１�辧■鵜匱紊妊哀譟璽函Ε�ーロワールです」（森下さん）
ここで、エベレストの静止画像になり、３日目のルートの確認となる。
（字幕）Ｃ２（第２キャンプ地）
（字幕）Ｃ３（第３キャンプ地）
位置を示し、行程を赤い実線で表示する。
（セ）「この日のルートは、出発地点から水平に１�卍�歩き、グレート・クーロワールと呼ばれる氷河のくぼみへ、そこから１８０ｍ登った岩場（Ｃ３）にテントを張る」
（字幕）グレート・クーロワール
（字幕）Ｃ４（第４キャンプ地）
（字幕）頂上８８４８ｍ
位置を示し、行程を赤い波線で表示する。
（セ）「翌々日に登頂を果たすのには、この日のうちに予定のキャンプ地（Ｃ３）に着かなければならない」
栗城さんのカメラの映像になる。
（セ）「栗城は、グレート・クーロワールを目指し歩き始めた」
「だが・・・」
栗城さんのカメラの映像には、足元が映っているが、栗城さんの息苦しい声が漏れている。
（セ）「足が、何度も止まってしまう」
栗城さんが、座り込んでいる様子の映像になる。
「かなりキツイです」「荷物は重いし」
「呼吸は苦しいし」
息苦しい中、無理やりカメラに話している。
「なんでしょうかね この世界は」
（セ）「そして、事態は急変した」
グレート・クーロワールまで、まだ３分の１ほど残した水平に歩く地点で、止まっている栗城さんの映像（ノースコルからのもの）が映される。
「これ以上 足が 動かない」（栗城さんの交信）
ＡＢＣの森下さんが、うつむき顔を手で覆う映像に変わる。
（セ）「一体何が起きたのか」（１０分）
なんか、最悪の事態になった様に、演出しています。
ここで、上下に字幕を表示して、番組の提供の読みあげがされました。
（字幕）「日本登山史上初の快挙なるか！」
（字幕）「生と死の境・・・栗城の運命は？」
先週、そして今回のフラッシュで結末を見せているのにもかかわらず、そして、すでにＮＨＫ「７サミット」でも、先月２度ほど結果の解る放送がされているのにもかかわらず、すごい思わせぶりだ。
ＴＢＳは、栗城さんを殺したいのか・・・？！
スポンサー紹介の後、再び、時間が戻っている。
（字幕）９月２４日
アタック３日目
標高７７００メートル付近
（セ）「アタック３日目、この日、栗城は僅か３分しかカメラを回していない」
再び、栗城さんのカメラで映された座り込む様子の映像に変わった。
ナレーションで理解しました。登頂断念する決意前の映像は、この映像しかないんです。
（セ）「撮影する余裕が、無くなっていたのだ」
そりゃそうでしょ、寝てないんですから。（ＴＢＳでは、内緒みたいですけれど・・・）
（字幕）ナレーション 東山紀之
おい、セレブレーターじゃなかったの？
映像が、ノースコルの撮影隊のものに変わります。
（セ）「標高７０００ｍのノースコルから、撮影スタッフが栗城の姿を追う」
映像が、ＡＢＣテント内の森下さんに変わりました。
森下さんが、栗城の位置を確認しようと、ノースコルにいる撮影スタッフに、交信します。
「ノースコル ノースコル取れますか」（森下さん）
（セ）「ＡＢＣ（ベースキャンプ）にいる森下からは、栗城の姿が見えない」
「撮影スタッフに現在位置を確認する」
森下さんの交信内容を説明するエベレストの静止画像に変わる。
そこには、Ｂ、Ｃ、Ｘ、Ｙ、Ｚ、Ｅ、ＮＤＸと書かれたポイントが示されている。
ノースコルの撮影スタッフとの交信
「栗城の現在地を、Ｂ地点を元に教えて下さい」（森下さん）
「かなりＣ（地点）寄りの下の方 雪原を歩いています」（撮影）
Ｂ、Ｃ、「栗城」の直角二等辺三角形の位置、つまり、ＢともＣともほぼ等距離の位置に、栗城さんの現在地が示される。
栗城さんの全くその地点から動けなくなっている様子の映像に変わります。
テント内の森下さんの映像に変わる。
森下さんは、撮影スタッフから知らされた栗城さんの現在地報告に、かなり、迷っている様子。
森下さんの独り言「どうするかな」
再び、栗城さんのノースコルからの映像が映し出される。
そこには、栗城さんが、垂直に登る様子が映し出されるが・・・
（セ）「栗城の歩くペースが落ちている」
「１００ｍ進むのに一時間 膝まで積もった雪が行く手を阻む」
「このまま、進ませるべきか 森下は迷っていた」
テント内の森下さんが腕組みして、目を閉じる様子。
ノースコルからの栗城さんの映像。
（セ）「テントを張れる場所など、どこにもない」
（字幕）「日没まで あと３時間」
（セ）「日没まで、あと３時間 時間がなかった」
エベレスト山頂の様子に映像が変わる。
テント内の森下さんの交信模様に変わる。
「ＡＢＣ森下です、ＡＢＣ森下です 栗城取れますか」（森下さん）
少し間をおいて、栗城の交信。
映像はノースコルから撮影した栗城さんの様子に。
「これ以上 足が動かない」（栗城さん）
（セ）「栗城の力ない言葉に森下は心を鬼にして決断した」
「クーロワールの降り口まで行かないとテント場はないです」
「もし今、そこまで行けないというふうに思うんであれば」
「戻って下さい Ｃ２（第２キャンプ地）まで」（森下さん）
（セ）「だが、栗城は・・・」
「行けるところまで行きたいなと思いますんで」（栗城さん）
ここで森下さんの独り言「ギリギリだな」
（セ）「栗城の粘り強さは、森下も知っている」
「だが、キャンプ地は、まだ遠い」
栗城さんの無線を聴いて、森下さんにノースコルから無線が入る。
「ＡＢＣ森下です、どうぞ」
（セ）「ノースコルの撮影スタッフがこんな提案をしてきた」
「もし にっちもさっちも 行かないようだったら」
「Ｃの方を目指して行ってもらって」
「そこでビバーク（野営）ポイントでも見つけるのが」
「一番手っ取り早いんじゃないかなと」（撮影スタッフ）
Ｃ地点は、本来の目的地（Ｚ地点）の約３分の１の距離になります。
つまり、４日間での登頂スケジュールは、大きく崩れます。
しかも、登頂中、栗城さんはこの先、無酸素なため、眠ることができません。
何度も繰り返しになりますが、この無酸素の苦しい一番大切な部分を何故か、ＴＢＳは、一切流さないのです。
ここも内緒にされるのですが、栗城さんは、１４日に７６００ｍ地点までＣ１（ノースコル）から、てくてくと歩き、カラオケを歌っているのです。無酸素の中をです。
しかし、今になって思えば、その３回のカラオケを配信するためのリハーサルが、栗城さんの体調を崩させたのかも知れません。どうして、この２点を内緒にするのだろうか。
意図を感じます。
ドキュメンタリー番組に、演出はいりません。これはやらせという奴です。
さて、話を戻しましょう。
栗城さんが現在いる地点は、その日の出発地（Ｂ地点）から、本来進むべきＣ地点の位置よりも、かなり下の場所で、今日ここまで歩いた距離とほぼ同距離を進んだあたりに、Ｃ地点があります。
(セ）「Ｃ地点に近い、岩陰にテントを張り、夜を明かし、体力を回復させようとする考えだ」
提案に対する説明ですが、夜を明かすのは、地上の３分の１しか空気がない場所で、無酸素のため眠れないという過酷な条件を、一切説明しない。
（セ）「しかし、森下は・・・」
「テントは張れそうでしょうか」
「画像を見る限りは ちょっと厳しいなと思ってます」（森下さん）
森下さんが、地点確認した絵を見ながら、撮影スタッフに交信します。
「岩棚の下の辺りに 穴でも掘ってもらって」
「そこにテントを立てるしかないんじゃないかなと」（撮影スタッフ）
「栗城にそんな力は残っているかな？」
「穴 掘れるかな？」（森下さん）
栗城さんは、森下さんとノースコルの交信の間も、Ｃ地点を目指し、登っています。
（セ）「栗城に硬い雪を掘る体力は、残っていないと思われる」
「やはり、選択肢は、行くか、戻るか」
午後４時
「はい、ＡＢＣ森下です どうぞ」（森下さん）
（セ）「午後４時、栗城から無線が入った」
「グレート・クーロワールまでは、あと３００ｍ」
映像は、ノースコルから観える栗城さん。
「現在時間 ４時 残り３００ｍ どうですかね」（栗城さん）
「え〜、迷ってる場合ではないですね」
「行くか戻るか 生と死の分岐点です」（森下さん）
栗城さんの映像に、字幕の表示。
（字幕）「生と死の分岐点」
（セ）「生と死の分岐点、森下は栗城に決断を迫った」
「了解しました」「行きます」（栗城さん）
森下さんの苦渋に満ちた顔のアップ。そして顔を伏せる。
（セ）「栗城は、登ることを選んだ」
「はい、ＡＢＣも了解です」
「これはもう栗城にしか分からないので、自分で判断してください」
「絶対 無事で」（森下さん）
（セ）「だが、言葉とは裏腹に、栗城の足は動いてはいない」
「デスゾーンに入って２日目、酸素の欠乏が、
脳にも身体にも、容赦なく襲いかかっていた」（１５分０８秒）
体調不良と、睡眠不足のダブルパンチであることを触れずに、酸素の欠乏だけが、この行動になっていることを力説している。
（セ）「森下は、栗城の位置を撮影スタッフに何度も確認する」
「パソコンの画像のＸＹの文字の標高くらいでしょうか」
（セ）「ここまでは、なだらかな斜面の水平移動だったが」
「グレート・クーロワールに入ると一転して、急な登りになる」
「引き返すなら、今しかない」
午後４時３０分
（セ）「午後４時３０分、森下は栗城に呼びかけた」
「あと２時間で暗くなります」
「今 判断する最期のタイミングです」（森下さん）
「ここで止めたらもうダメだと思います」
「まだ 始まったばかりなのに・・・（嗚咽）」（栗城さん）
ここに来ても、諦めきれない栗城さんの言葉に、思わず頭をかく、森下さん。
「もう少し頑張りたいです」（栗城さん）
「ＡＢＣとしては、残念ながら戻るべきだと思います」
「命があれば また挑戦できます」
「命を大切にして下さい」（森下さん）
（セ）「森下の懸命の説得、栗城はどう受け止めたのか」
「暫く、栗城から応答はなかった」
ここで、こうべを下げ、手で顔を覆う森下さんの映像が挟まれた。（１６分４８秒）
（セ）「だが、５分後・・・」
「こちら栗城です」（栗城さん）
ここでＣＭ、再び森下さんの説得の交信シーンに戻る
（セ）「このままでは日没に間に合わない」
「ベースキャンプの森下は栗城に撤退を促した」
「命を大切にして下さい」（森下さん）
（セ）「暫く栗城からの応答はなかった」
「そして、５分後」
「こちら栗城です」（栗城さん）・・・約３０秒ダブった放送をする。
「あと、あと少しなんですけれど・・・」
「もう目の前なんですけれど、ダメなんですかね」
栗城さんの悲痛な交信です。
森下さんも苦渋の決断で、栗城さんの生還を促そうと説得します。
「え〜、もちろんここからは見えないし、そこにもいません」
「ですが、現在地をしっかり聞いて、それを地図に落として、見て、測って」
「その結果、今日は日没には間に合いません」
「戻った方が良いと思います」
この説得に、暫く栗城さんは絶句しています。
「了解しました」「戻ります」（森下さん）
ノースコルからの栗城さんの映像で、栗城さんが進行方向を戻りはじめる様子が出ます。
そこに（字幕）「標高７８５０ｍ地点での撤退」
（セ）「標高７８５０ｍ地点での撤退となった」
ＡＢＣテント内の森下さんの深いため息。
おそらく、栗城さんの残念な思いを誰よりも理解しているから、そして、その説得にかける思いが、栗城さんに伝わった安堵の気持ちもあったのかも知れない。
（セ）「それは、森下にとっても、苦渋の決断だった」
森下さん無線交信のマイクを取る。
「ノースコル取れますか」
「ＡＢＣ 僕の判断 どうでしょうか？」
「行けたんじゃないかって、ちょっと思いますが」
「支持してます」（撮影スタッフ）
「ありがとうございます」（森下さん）
森下さんは、第三者に客観的に自分の判断を確認し、独り言を漏らす。
「仕方ない」
「うん、もうこれしかないですね」
「僕がブレちゃいけませんので」
「大丈夫です」
それは、自分にも納得させるように。
（セ）「栗城は再びカメラを取りだした」
映像が、栗城のカメラのものになる。
「今 ４時半なんですけど」
「Ｃ３に上がれなくて 体調が悪くて・・・（嗚咽）」
「目標地点まで、あと少しなのに・・・」
ＡＢＣテント内の森下さんの映像に変わる。
「まだ気が抜けないです」
「無事にＣ２に帰ってもらわないと」（森下さん）（２０分）
（セ）「登山では、下山中の事故が、圧倒的に多い」
「そこで、森下は・・・」
「応援メッセージ読みます」
（セ）「栗城の集中力を高めるために、ブログに寄せられた読者からのメッセージを読み上げる」
「生きて必ず帰って来て下さい 名古屋から応援しています」（森下さん）
「ありがとうございます」（栗城さん）
日没後の映像です。
栗城さんの踏ん張りながら歩く声が聞こえます。
（字幕）下山開始から３時間
眩しい満月の光のようなものが暗闇の中に・・・
（セ）「下山開始から３時間、暗闇に明かりが見えた」
「救助に来たシェルパのキャップライトだ」
ＡＢＣテント内の森下さんの安堵の様子。無線マイクを握り締め。
「よかったです 本当によかったです」
「２人仲良くＣ２まで行って下さい」
どうやら、ノースコルからのお迎え隊と栗城さんが、無事に合流できた様です。
（字幕）９月２５日
ＡＢＣ（ベースキャンプ）
画面は、ＡＢＣ（ベースキャンプ）のテント中心部。
（セ）「翌日、栗城は無事、ベースキャンプに帰ってきた」
単独で無事に下山してくる栗城さん。
「わりぃ、ありがとう」
ＡＢＣのスタッフは、生還した栗城さんに、暖かい拍手を送ります。
「頑張ったね」
森下さんが、栗城さんを抱きしめました。
栗城さんは、みんなに謝ります。
そして、下山後のインタビュー。
「山がでかかった」
「でも 諦めないです」
（セ）「エベレストに無酸素で挑む男、登山家 栗城史多（くりきのぶかつ）」
「彼はこの秋、再チャレンジを予定している」
「不屈の闘志で、世界一高いこの山を制した時こそ」、
「輝かしき、もうひとつのバースデイとなることだろう」
結論が解っているものを、生還できなかったように、見せる演出。
そして、眠れないという事実や登頂日程までの行動を一切知らせない態度。
これらが存在する番組「バースデイ」は、ドキュメンタリー番組と言えるのだろうか。
番組紹介には「本格的なドキュメンタリーを志向しつつ、明確なコンセプトを大事にしたい」と書かれています。（？？？）
コンセプト→過去の自分を突き破り、未知なる自分が産声をあげた時、
人生という名のカレンダーに新しい誕生日（バースデイ）が刻まれる。
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