のどごしさわやかなキリンレモン。

みなさんは、飲んでいますか?



しかし、このキリンレモンは、扱い方を誤ると、
とても怖い思いをすることをご存知でしょうか?

名付けて「恐怖のキリンレモン」

それは、とても怖い怖いお話です。
きょうは、この恐怖とも言えるお話しを
勇気を振り絞って書いてみようと思います。

でも、読んで後悔しても知りませんよ。

恐怖のキリンレモン・・・それは今からおよそ20年ほど前の
寒い寒いバレンタインデーの夜に起きた出来事なのです。

この日、Z仲間のN君が運転する300ZX 2シーター
5速Tバールーフの助手席に、カメラマンのユウジが乗っていました。

その後続車には、同じくZ仲間のカメラマン、
Y君が運転する300ZX 2シーター5速の助手席に
自分が乗っていたのです。

つまり、我々はZ2台でつるんでいたのでした。

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場所は、首都高速環状線外回り。
時刻は夜の9時を過ぎた頃だったと思います。

この日の首都高は、いつも以上に混んでいて、
頭に描いていたサーキットとは程遠く、大きな駐車場と
呼べるくらいの混みようでした。

「やけに混んでるな〜」と思ったそのとき、
前を走るN君から・・・
「どうする?右行く?」と無線が入ったのです。

N君の言う、右とは環状線をショートカットするように
作られている通称、新橋会社線のことです。

その言葉を聞いた自分は・・・

「右行け!会社線に逃げろ」と無線で指示を出しました。

「了解!」と言ったN君のZは、ターンシグナルランプを
右に光らせ、フル加速で新橋会社線へとルートを変更、
一方、自分が乗る後続車のZを運転するY君も、
フル加速で会社線に入りました。

いよいよ、ここから頭に描いていた
首都高速トライアルの始まりです。

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選んだ進路である会社線は、一気に下り坂を降りるようにして
トンネルに入り、その中で右にターンします。

さらに、その途中から深く切り込んだように再び右に
コーナーリングしなければなりません。

「下り」「コーナー」「トンネル」
この3つの要素が重なり、時折先行するN君のZが
見えなくなります。

一方、こっちのZは、プッシングアンダーを出しながら
N君のZを追いかけます。

まさに、首都高速トライアルに出て来るシーンのようです。

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再びN君のZが見えたのは、右コーナーが左コーナーに
変わったときでした。

しかし、このときN君のZの前に個人タクシーが
走っているのが見えたのです。

「あのタクシー邪魔だな」
そう思った矢先、今度はそのタクシーが
少し右側に少し膨らんできたのです。

こうした動きを見て自分は「邪魔」から「危ない」という
気持ちに変わりました。

でも、N君は減速しようとはしません。

個人タクシーは、N君が進むべく進行方向にいます。
いわばレコードライン上にいるわけです。

こんなとき、自分なら一旦アクセルを緩め、
クリッピングポイントから一気にハンドルを左に切り込み
アクセルをベタ踏みにして、前の車を追い抜きます。

レースなどで使うクロスラインです。

しかし、ここは公道です。
そんなことが出来るわけではありません。

ところが、こうした状況にも関わらずN君は、
膨らんできたタクシーのさらに右側、つまりアウト側に
進路を変え、そのまま2台はもつれるようにして、
再び姿を消して行きました。

またまた、首都高速トライアルに出て来るようなシーンです。

しかしこのあと、とても危険な出来事が
我々に襲い掛かってきたのです!

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N君のZが見えたのは、コーナーが開けたところでした。

ところが・・・

タクシーにラインを奪われたN君のZは、トンネルの壁に激突!

「ガシャーン」という大きな音を立てて、
自分が乗るY君のZに向かって、いくつかの部品が
飛んできたのです。

「あ〜〜〜〜やった〜〜〜」

ぶつかった直後、N君のZはブレーキランプと
その一拍あとにハザードランプが点灯し、
そのまま右側に停止しました。

このとき、後続車であるこちらのZのフロントウインドには
「GAME OVER」の文字が!
見えたような気になりました。

すると運転していたY君も・・・

「あれ〜首都高、終わっちゃったね。
まだコーナー4つしかクリアしていないのにね」と言ったのです。

もしかして、Y君の眼にも「GAME OVER」の文字が
見えたのでしょうか?

車から降りた自分たちは、N君の元へ駆け寄り
「大丈夫か?ケガはないか?」と尋ねました。

するとN君は・・・

「いや〜タイヤが温まっていなかった」と
答えたのです。

「ん?タイヤが温まっていたら、クリア出来たの?」と
再び訪ねるとN君は・・・

「渋滞でタイヤが冷えていたのさ!そうじゃなければ
あのタクシーを抜けたのに!ちくしょ〜あと道幅が
10センチ広ければ行けたのにな〜」
と言うのです。

でも、それはその通りでした。

実は、N君のZは道路の縁石にホイルをぶつけただけで、
ボディも足回りも、全く問題はなかったのです。

我々の眼の前に飛んできたあの部品は、マッドガードで、
それ以外は壊れていなかったのです。

ただし、ホイルとタイヤは、グチャグチャになりましたけど。

ところが!このあと,もっと大きな
問題が起きたのです。

助手席に乗っていたユウジが出てきません。

一体、ユウジに何があったのでしょうか?

急いで、助手席のドアを開け、「ユウジ大丈夫か?」と
問いかけました。

すると、ユウジは・・・

「大丈夫なんだけど、顔も手も足も、Zの中も
ベッタベタになっちゃった」と答えたのです。

実は、ユウジは首都高全開という状況の中、
優雅に助手席でキリンレモンを飲んでいたのです。

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ところが、コース幅が10センチ足りなかったために、
縁石にリアホイルがヒット!
その衝撃で、手に持っていたキリンレモンが
車内中に飛び散ったのでした。

おかげで、Zの車内はベッタベタ・・・

「俺たちはタイヤ交換するから、ユウジは車内清掃を!」
と言ったのですが、あいにくウエットティッシュが
残りあとわずかだったので、最低限手に触れるハンドルと
シフトレバーだけをふき取り、Zは車内がベッタベタのまま
工場へと運びこまれたのでした。

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以来、キリンレモンは運転の良し悪しを計る
バロメーターのような存在になりました。

ですから、普段はのどごしさわやかなキリンレモンですが、
車の中で飲むときは、細心の注意が必要なのです。

そうしないと、それは恐ろしい粘着物に姿を
変えてしまうかも?

しれませんよ。


あ〜怖!