2011年09月03日

福岡市西区マリノアシティに「ふくしま応援ショップ」開店とは、これいかに

追記 2011.09.8 出店の予定はなくなったそうです。記事の下に追記しました。

西日本新聞の記事で仰天ニュースです。
・福島の農産品販売で農家励まそう! マリノアに「ふくしまショップ」開店へ

9月17日、福岡市西区の商業施設「マリノアシティ福岡」内に福島県産の農産物などを販売する「ふくしま応援ショップ」が開店するとのこと。福島第一原発から40-50キロ圏内の農作物を仕入れて販売するのだそうです。ありえません。私は断固として反対です。

放射性物質は人間が食べても廃棄処分をしても決してなくならず、福島から持ち込んだ分だけ福岡県内が汚染されます。これは「私は買わないからいいや」という問題ではありません。

記事によると、このショップの運営には「九州産直クラブ」と主婦らでつくる市民グループ「ふくしまショッププロジェクト」が関わっているとのこと。九州産直クラブは九州産の無農薬野菜を販売している団体のようですが、農薬はダメで放射性物質はOKってどんな安全基準なんでしょうね。電磁波が危ない、狂牛病が危ないなどと言っていても、放射性物質にこんなにも無防備な団体なんてはっきり言って信用できないです。
福島の農産物が売れないのは風評被害だとか、原発事故から半年も経ってまだそんなことを言っているのか、どれだけ無知・無関心なんだと憤りを感じます。少しはチェルノブイリから学んでほしいものです。福島県内でも売れない汚染野菜をわざわざ遠く離れた福岡県まで輸送して売るなんて、そんな支援がありますか。福島の農家が金銭的に困っているなら、訴訟の手伝いをするなり募金をするなりすればいい話です。
まだ、「福岡県内の食材を使って喜多方ラーメンを再現して売る、売上の一部を福島に寄付する」といった取り組みならよいものを、なぜ健康被害が心配されるような食品を持ち込むのか。放射性物質は拡散させないことが大原則のはず。関係者はあまりに無知すぎます。
それとも、福岡を汚染させることを承知の上での取り組みなのでしょうか。自社が取り扱っている九州の無農薬野菜を関東まで運んで高値で売って、帰りに福島県産の野菜を安く仕入れてきて儲ける算段とか?

・ふくしまショッププロジェクト事務局
092(555)5824
・マリノアシティに意見を送る
http://www.marinoacity.com/inq/
メール:info@marinoacity.com
TEL 092-892-8700 (10:00〜21:00)
・九州産直クラブに意見を送る
http://sancyoku-club.com/kodawari/inquiry.html
0120-070-529(月〜土 9:00〜19:00)

こんなニュースを深く追求せずに肯定的に取り上げてしまう西日本新聞も相当なものです。

【参考URL】
今更だが、福島県産の食品放射能検査は、全ての市町村の、全ての食品項目を行っているわけではない (日々雑感)

現在、日本の暫定基準値はセシウム500bq/kg、ヨウ素2000bq/kg。
ドイツ放射線防護協会は「乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないこと、成人は1kgあたり8ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないこと」を推奨しています。マスコミは全く報道しませんが、日本の暫定基準値はドイツ放射線防護協会が推奨する値の125倍(成人は62.5倍)なんです。

「放射性物質の量の検査結果も表示する」と記事にありますが、測定検査は食品を細かく切ってつぶして行うので、売っている商品そのものの測定結果ではありません。どのくらいの頻度でサンプルを取って検査するのか、どこの誰が検査を行うのか、どんな条件で測定を行うのかで検査結果の信頼性は全く変わってきます。検査機関での測定は時間も費用もかかります。ふくしま応援ショップで取り扱う商品全てについて、継続的に測定を続けるのは現実問題、不可能なんじゃないかと私は推測します。人は数字の情報を鵜呑みにしてしまいがちですが、このショップが表示する測定値がどのような方法でいつ計測されたものであるか、注意すべきだと思います。
そもそも福島県内はセシウムだけじゃなく人工放射性核種が多種拡散しているので、セシウムの値だけで食品の安全性は保障できません。プルトニウム、ストロンチウムにどれだけ汚染されているかどうか分からない食品を買うのは危険です。

=追記=
この件について、テレビ局などの大手マスコミは「メールの脅迫があった」「これこそ風評被害」と京都の松のときと同じ扱い方をしています。私はマリノシティと九州産直クラブに意見のメールを送った一人です。マリノアシティからは二度返信を頂きましたが、九州産直クラブからは返信がありません。私は自分が送ったメールが九州産直クラブに風評被害、脅迫、悪質と受け取られていることに驚いています。脅すつもりなどありませんでした。放射性物質の危険性について知って欲しいと思って意見を送ったつもりでした。
また、「福島からトラックが福岡に来るだけでも放射性物質を拡散する」といったメールや電話が相次いだためで、 同団体は新たな出店先を探すという。」という報道の仕方にも疑問を感じています。
トラックうんぬんについて、メールや電話を送った全員がそう主張したかのように報道していますが、私はそうではないと思います。私は九州産直クラブに出したメールに「福島-福岡間の運送中、車の排ガスから周辺地域にも汚染を広げることになると思います。」との一文を記しました。報道されている「福島からトラックが福岡に来るだけでも放射性物質を拡散する」という言葉は使っていません。しかし、軽率でした。このような意見を出したのは正直私だけなのではないかと思います。全ての人がこのように主張したかのように報道されていますが、寄せられた意見の中から叩きやすい箇所だけを拾って取り上げて、全員の意見であるかのように紹介されてしまったのではないか、と思っています。この一文は書くべきではありませんでした。
自動車のエアフィルターには放射性物質が蓄積されますが、除染するのは難しいとの話を聞いていたので、私はその影響を懸念していました。チェルノブイリには汚染された車、飛行機の墓場があります。福島の車のエアフィルターからプルトニウム、テルルが検出されたニュースや、新潟ガソリンスタンドの洗車場汚泥から最大9万ベクレルのセシウムが検出されたニュースから、車の出入りによって放射性物質が拡散するのではないかという不安を持っていました。しかし、そういった不安を抗議メールに書くべきではありませんでした。

私が九州産直クラブに伝えたかったのは、
(1)文部科学省が発表した「3月、4月分の環境放射能水準調査結果(月間降下物)」データ(関東地域の汚染状況がわかる)
(2)農林水産省が発表している、日本の食品に対する諸外国の規制措置データ(世界各国で福島県の食品は輸入が規制されていることがわかる)
(3)国の基準が311後に緩められて大ザルになっていること
(4)農作物はセシウムだけでなく、プルトニウムやストロンチウムで汚染されている可能性があり、それは測定されていないこと
の4点でした。
なるべくデータを示して、九州産直クラブの方に汚染の状況を知ってもらいたかったのですが、伝わらなかったのは残念です。
福島応援ショップは私は出店するべきではないと考えますが、大手マスコミを含め、出店すべきと考える人が多いのだと今回の一件で思い知らされました。

【参考URL】
【汚染】新潟ガソリンスタンドの洗車場汚泥からセシウム 最大9万ベクレル検出
福島の車のエアフィルターからプルトニウム239を検出
6月に福島の車のフィルターからテルル129mが検出 再臨界は続いている
消防車が放射能汚染、新車購入へ 新潟市、福島原発事故で貸与

最後に九州産直クラブに出したメール本文を転載します。
どの部分がマスコミに取り上げられ、どの部分がスルーされたか見ていただければと思います。
今読み返してみて、感情的に書きすぎた部分があったと反省しています。
私のメールのせいで、他の方の意見まで「悪質だ」「脅迫だ」と報道されてしまっているなら、大変申し訳なく思います。
--------------------------------------------------------------------------------------------

今月17日、マリノアシティに「ふくしまショップ」が開店すると西日本新聞の記事で知り、驚きました。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/261552

福島第一原発から40―50キロ離れた地域の農産品を仕入れて販売するとのこと。
これは福岡県民の被曝を促進する行いであり、私は断固として「ふくしまショップ」の開店に反対です。
福島-福岡間の運送中、車の排ガスから周辺地域にも汚染を広げることになると思います。

このショップに関わる人たちは「福島県産の農作物は安全、売れないのは風評被害だ」という信念で取り組んでいらっしゃるようですが、それはあまりに放射性物質について無知であり、間違った思い込みです。
公的機関が発表しているデータから福島県の汚染が深刻であることは明らかであり、福島の農作物が安全であるはずがありません。
風評被害ではなく実害なのです。

以下のリンクは文部科学省が発表した「3月、4月分の環境放射能水準調査結果(月間降下物)」データです。
http://www.mext.go.jp/component/english/__icsFiles/afieldfile/2011/07/29/1307873_072914.pdf#search='文部科学省が発表した環境放射能水準調査結果(月間降下物)'
福島県は分析中として値が記されていませんが、福島周辺の関東地域がどれだけ汚染されているかご確認ください。
I-131(放射性ヨウ素)、Cs-137(放射性セシウム)、Cs-134(放射性セシウム)のほか、
人工放射性核種が多種類検出されています。

以下のリンクは農林水産省が発表している、日本の食品に対する諸外国の規制措置データです。
福島県の農作物が世界各国で輸出規制されていることをご確認ください。
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kensa_0715.pdf
諸外国は日本国内の汚染状況をシビアに判断して、既に汚染地域からの輸入を規制しています。

また、日本が震災後に定めた食品の暫定基準値についても、基準を緩めすぎて大ザルになっていることを
知る必要があります。
現在、日本の暫定基準値はセシウム500bq/kg、ヨウ素2000bq/kgです。
ドイツ放射線防護協会は「乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないこと、成人は1kgあたり8ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないこと」を推奨しています。
日本の暫定基準値はドイツ放射線防護協会が推奨する値の125倍(成人は62.5倍)なのです。
この値よりも低いから安全だと言えるレベルのものではありません。

福島第一原発の事故は未だ収束しておらず、放射性物質は漏れ続けています。
農作物の測定でわかるのはセシウムの量だけですが、実際には猛毒のプルトニウムやストロンチウム、
テルルといった人体への影響がまだ全く解明されていない核種も多数飛散しており、
セシウムの値だけをもって福島の農作物が安全だとは到底言えません。

被曝は足し算で考えるものです。
放射性物質の値が基準値以下であっても、それを人体に取り込めば累積され、
取り込んだ量の分私たちはリスクを抱えることになります。
量が少なければ無害なわけではありません。
こういった放射性物質に関する知識を「ふくしまショップ」に携わる方たちは知らないのだと思います。
九州産直クラブさんは食にこだわり、無農薬野菜を取り扱っていらっしゃるのですから、
放射性物質が人体に与える影響についてもロジカルな判断をして頂きたいです。
汚染された食品を消費者に販売し、健康被害が出てから「知らなかった、そこまで酷いとは思わなかった」と後悔しても遅いです。
どうかチェルノブイリの文献や原発事故に関する各種データをもとに、ロジカルな判断をしてください。
「福島の農家が気の毒だから、ちょっとくらい汚染されていたって大丈夫でしょ、食べて支援しましょう」というのは
情に流された、非論理的な判断です。
汚染された地域に対する本当の支援とは、被曝を肩代わりすることではなく、避難を助けること、
訴訟を助けること、九州から安全な食材を提供することだと思います。
「ふくしまショップ」開店につきましては、どうか再検討をお願いします。
これは九州産直クラブの信用に関わる問題で、汚染食品による被曝をよしとするならば、御社が取り扱っている九州産の食品についても不買の動きが広がることと思います。


---------------------------------------------------------------------------------------------------
posted by tama at 20:44| 脱原発