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台風「減災」の要は情報だ

2011/9/6付
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 台風12号が深い爪痕を残し、2004年に死者・行方不明者98人を出した台風23号以来の大きな被害となった。記録的豪雨により、近畿を中心に土砂崩れや河川の氾濫が相次いだ。雨で地盤がゆるんだ場所が多く、土砂災害になお警戒を怠れない。

 台風の速度が遅かったうえ、南から湿った空気が断続的に流れ込み、紀伊半島各地で1000ミリメートル以上、年間降雨量の6割を超える雨が降った。和歌山県や奈良県などで山崩れが多発し、川の増水で家が流された。死者・不明者の多くが逃げ遅れによるとみられる。

 豪雨災害の被害を減らすには、早めの避難が鉄則だ。総務省消防庁によると、台風の接近で14万人以上に避難指示・勧告が出たが、実際に避難したのは約4500人だった。不明者が出た奈良県五條市や和歌山県田辺市などでは、一部地域で避難指示を出さずに住民の判断に任せた。

 気象庁は昨年、それまで都道府県の地域ごとに出していた大雨などの警報を、市町村ごとに出す方式に改めた。しかし、市町村がそれをどう活用し、避難指示や勧告を出すかがあいまいで、結果的に避難の遅れにつながった。国と市町村がもっと連携し、避難の基準作りを急ぐべきだ。

 台風災害を含めて雨が短時間に集中して降る豪雨災害が増えている。今年7月の新潟・福島豪雨でも1時間に110ミリメートル超という記録的な雨を観測した。地球温暖化の影響で、こうした極端な気象災害が起きやすくなっているとの指摘もある。

 堤防をかさ上げしたり傾斜地を補強したりする対策には限界がある。住民に的確な情報を伝え、避難を促す仕組みが欠かせない。雨雲レーダーの画像をテレビで伝えるのはよいが、河川の増水や土砂崩れの恐れも併せて伝え、住民が切迫感をもてるように工夫できないか。

 また、高齢者や体が不自由な人が安全に避難できるように、自治会や青年団などが手助けし、地域で支え合う仕組みも強めたい。

 大都市も豪雨への備えは十分でない。河川の氾濫時に住民がどう避難し、道路の冠水による交通網のまひをどう防ぐか。ゲリラ豪雨が増えるなか、自治体と住民、企業が連携して対策を練るときだ。

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