来春から中学校で使う公民教科書の採択をめぐる混乱で、沖縄県八重山地区の石垣市、竹富町、与那国町は8日、3市町の全教育委員13人で臨時総会を開き、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版の採択を撤回し、東京書籍版の採択で一本化することを多数決で決めた。すでに育鵬社版を採択していた石垣市と与那国町の教育長は、抗議のため棄権・退席した。県教委は近く、この日の結果を文部科学省へ報告する。
3市町の意見が割れた状態が8月下旬から続き、31日には各教育長が協議したが、溝は埋まらなかった。県教委は「このままでは一本化は難しい」と、協議の場を持つよう3市町に通知した。竹富町も「問題が大きくなっており、全教育委員で話し合うべきテーマだ」と主張。この日の臨時総会が開かれた。
総会は、議事の進め方や会の法的な位置づけなどをめぐって紛糾し、約6時間に及んだ。石垣市の玉津博克教育長は「市教委の結論を変えるつもりはない」と多数決での採決を拒否。与那国町の崎原用能教育長も「ここで(育鵬社以外に)決めても、与那国町に戻って否決する」と退席した。
育鵬社版を不採択とすることには、議長や棄権者を除いた委員7人が賛成し、3人が反対した。新たな教科書としては、これまで3市町で使われ、教科書調査員から推薦のあった東京書籍版を選んだ。