勤め先の上海のホテルで男が売春婦にお金を払わず大騒動

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私も言いました。世界のどんなところだって、酒場で出会った女性を連れて帰ることなんてできないし、現実的じゃないって。中国だったらどんなことをしてもいいだなんて思わないでくださいね、って。それで彼には部屋を替えるように勧めました。でも、なぜ部屋を換える必要があるのかって言うんです。

　サーチナ総合研究所（上海サーチナ）の中国現地モニターの中から協力者を募り、インタビューを行なっていく企画。今回は、代さん。1982年、上海生まれ。現在は上海の某ホテルに勤務。上海の観光業に10年以上関わってきたプロだ。数多くの観光客と出会い、ホテルをめぐる中で見えてきた、上海の観光とは。

＜上海観光と治安の話＞

――上海は観光都市として発展してきましたが、治安が悪くなったという声もあります。

代　私は仕事で派出所とやりとりすることも多いんですね。ホテルの治安管理については手を緩めたことはありません。もし私たちのホテルで罰則を受けるようなことがあれば、そこを管理している派出所も罰則を受けるんです。だから派出所もけっこうプレッシャーが大きいんですよ。公共の場所での治安という点ではあまりよくわかりません。ホテルの中は私たちがお客様の安全を保障するんですが。

――ではホテルがいちばん安全な場所といっていいかもしれませんね。

代　そうですね。ただ、いまでは地下鉄や汽車、飛行機でも、すべて手荷物検査が必要になってますし、私は全般的に治安の面は楽観視しているんです。思っているほど怖がることもないと思いますよ。

――ただ、聞いたところによれば外国人犯罪も増えている。

代　そうですね。確か2003年か04年、宝飾品の展覧会が上海で開かれたんですけど、ボリビア人の一団が宝飾品を盗んだんです。しかも当時私が働いていたホテルに泊まっていたんですよね。駅近くのホテル、それから私たちのホテルで捕まえられたんですけど、その様子がテレビにも出たんです。あのときに比べたら治安は格段に良くなったと思うんですよ、本当に。

――その他だといかがですか？

代　私が見たところですけど、上海のホテル等で起きている犯罪は外国人が多くなっているように思います。私が経験したなかでもいちばんひどかったのは、売春婦に金を渡さなかった件ですね。夜間にフロア係をしていたとき、お客様が私を呼び出したんです。で行ってみると、「この女がまとわりつくんだ」と言うんです。

――あぁ、もうわかりました。

代　そう、この女性を酒場から連れてきて、遊んだけど金を渡さなかった。もちろん私は警備員を連れて行きました。お客さんは保護しなくちゃいけませんし、この女性も追い返しました。でも、そのお客さんにも言ったんです、ここは中国なんですよって。でも、彼は「金をやるなんて一言も言ってないぜ」って言うんです。

――ひどいですね。

代　私も言いました。世界のどんなところだって、酒場で出会った女性を連れて帰ることなんてできないし、現実的じゃないって。中国だったらどんなことをしてもいいだなんて思わないでくださいね、って。それで彼には部屋を替えるように勧めました。でも、なぜ部屋を換える必要があるのかって言うんです。

――後々怖いですからね。突然押しかけてきたり。

代　もう彼女に知られてしましましたからね。部屋を移って頂ければ、ホテル内での安全は保証いたしますって言いました。そしたらようやく同意してくれたんです。でも、私はどうしてこんなことをしてしまうのかと思うんです。これは文化の違いでしょうか。彼らはきっと中国でなら何をやっても差し支えないと思っているのかもしれません。

（聞き手・編集：前田直人・サーチナ総合研究所研究員）