脳死からの臓器提供で、肝臓の移植を受ける患者を選ぶ基準が見直され、劇症肝炎など緊急に対応しないと生命に危険が生じるおそれが高い患者を優先して、移植手術を実施することになりました。
脳死からの臓器提供では、関係する学会でつくる合同委員会が臓器ごとに移植を受ける患者を選ぶ基準を定めています。肝臓ではこれまで、劇症肝炎や移植手術のあとに肝不全を起こした患者と、慢性の肝臓病で症状の重い患者は同じ扱いで、待機時間の長さから慢性の肝臓病の患者が優先されることがありました。しかし、合同委員会が6日、会合を開いて検討した結果、劇症肝炎などは緊急に対応しないと生命に危険が生じるおそれが高いとして、基準を見直し、優先して移植手術を実施することを決めました。年間500人前後が発症する劇症肝炎では、肝臓の細胞の破壊が急速に進むため、移植手術を受けない場合、症状が悪化して1週間ほどでおよそ70%の患者が死亡するとされています。去年7月に改正臓器移植法が施行されて以降脳死からの臓器提供が増えたことをきっかけに、命を救う機会を確保すべきだとして、専門の医師などから基準の見直しを求める声が強まっていました。新しい基準は、8日、厚生労働省の審議会で承認され、早ければ年内にも適用される見通しです。