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岡山地方裁判所が出した手書き資料。年代不詳。
花札技法については下記のものが網羅されている。
八八(吟味花)、花合せ(馬鹿花)、百落し(百引き)、ボケ花、九十六、ムシ(大阪ムシ)、六百間、アトサキ、手本引き(ツリ)、六荷、オイチョカブ(押ヘタ、ヨシ、カブ、カオ、九引キ)、ヒヨコ、ダレ、シッピン(キンゴ)、十目、骨牌使用の目高(キチヤウ)、骨牌使用の三突、ドーサイ
骨子使用賭博
丁半(ゴロンボウ、投げ丁半)、チョボ一、四・五・一、賽カブ(賽カオ)、骨子使用の目高(キチヤウ)、賽三突、賽カッパ、ビリ出し(ビリカケ)、シツチ
骨牌、骨子使用賭博
スマル、賽本引き
その他
揚り(揚り駒)、金轉がし(金振り、廻り将棋)、竹将棋、運引(ホービキ)、テギ、字か奴か(白黒)、ハッタリ、柿の種切り、紋へぎ、競馬
朝鮮賭博
チクテン、ダンダングリ、カケー、ノウロン、ユ
備考
原本は山口泰彦氏(福井県:「最後の読みカルタ」「南蛮カルタ、何処へ」などの著者)が所有しており、山口氏と吉海直人氏(京都府:同志社女子大学教授)と私(東京都:このホームページの管理者)で2002年に復刻したものである。
この資料についてご存知の方がいらっしゃいましたら是非ご連絡下さい。
追記
この書物内で表記されている「花合せ(馬鹿花)」はいわゆる「九十花」のことである。「九十花」の技法に関しては「花札ゲーム28種」をはじめいくつか報告されているが、ここでの「九十花」は「ぬき」であり、藤・萩の素札2枚、藤・萩の短札1枚、雨の素札1枚計7枚を抜く。よってタネ物の中からホトトギスとイノシシを15点にしている。また、雨の光札を鬼札としていることも特徴としてあげられる。藤・萩は1枚札なので場に出すか、めくると取得できる。鬼札も含めて、最初に場にあった場合は親の取得かもしれないが、表記は無い。
しかしこの枚数ではミツなら手6場5である。サシ、ミツが混同したのかもしれない。
場所柄「九十花」を「花合せ(馬鹿花)」と表現していることは貴重な報告であると思う。実は各地の「花合せ」は特色のあるものである場合があるという示唆でもあろう。
1952年11月15日 初版
大石天狗堂編集部
発行者 合資会社多いし天狗堂本店 代表社員 前田正文
敗戦後、販促用あるいは技法普及目的で出版されたもの。冒頭にある次の記述が面白い。
「日本に生まれて日本に育ち、純正な風雅の心を永く伝える「花札」を皆さんの家庭でなおもすこやかに育てて下さい。日本中の家庭でこぞって育てて下さい。「天狗」のように鼻高々と、大威張りで、金天狗・銀天狗の名をはずかしめぬように、花札を正しく扱って下さい。
八々の詳細な手引書である。
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