読売テレビ(大阪市)が4日に放送した討論番組「たかじんのそこまで言って委員会」の中で、原発問題を専門とする中部大の武田邦彦教授(68)が放射能汚染の現状について、岩手県一関市を例に挙げ「青酸カリがまかれた」などと発言したことが7日、騒動に発展した。同市の勝部修市長(61)は武田教授に抗議のメールを送信。しかし、一関市役所や読売テレビに寄せられた意見のうち、半数以上は教授の発言を支持するものだった。
震災後、テレビや著作などで原発問題についての過激な発言を展開している武田教授。番組では「子供相談室」コーナーで、小学4年の男子児童から寄せられた「東北の野菜と牛肉を食べたらどうなるの?」という質問に答える形で発言した。
開口一番に「健康を害しますから出来るだけ捨ててもらいたい。畑に青酸カリがまかれた(ようなもの)」と語ると、「一関市には放射性物質が落ちている」として「除染してから取り組むという決意がないといけない」と述べた。他の出演者の「取り消すべきや」の声にも「取り消しません。正しいんですから」と反論。「文句は東電に言って下さい」とした。
同番組は収録形式。内容を把握した上でオンエアした読売テレビは7日、番組ホームページに「広く議論されるべき大切な問題が提起されると判断し、放送に至りました」との説明文を掲載。総合広報部は「(発言は)安全を優先すべき、という趣旨。真摯(しんし)に議論した内容を見ていただければご理解いただけると思います」とコメントした。
6日に視聴者から勝部市長に内容についての情報提供があり、番組をチェックした市長は「地元自治体の首長として強く抗議します」との内容のメールを、武田教授の個人アドレスに送信した。
しかし、一関市役所に寄せられた254件の電話やメールのうち、約8割は「抗議なら国や東電に対してしてくれ」など、抗議に対して否定的。読売テレビに届けられた約100件の意見も、約半数は「発言は理解できる」といった内容だった。
武田教授は、「私はもうじいさんだから批判されようが何だろうがいい。ただ東電を許し、子供を被ばくさせるようなことを避けたいだけです」と発言の意図を説明。市長からのメールはまだ届いていないといい、「ジェントルマンなら、ちゃんと私の返信を受け取ってから公表してほしかった」と話した。