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週刊・上杉隆
【第191回】 2011年9月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
上杉 隆 [ジャーナリスト]

新聞がおかしい――朝日の記事に見る、自己認識能力を失った報道

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 半年前、朝日新聞はどう報じたか。筆者はもうこれ以上は言わない。そう、本コラムの読者ならばすでにご存知だろう。

今日9月8日の朝刊で
またしても…

 ところが、これだけだったらまだしも、今朝の紙面で、朝日新聞はさらにやってしまった。

〈3月15日の雨、放射性物質運ぶ 原発北西方向に「帯」〉

 このような見出しのあと、次のような文章が続く。

〈東京電力福島第一原発から北西に帯状に延びた高濃度の放射能汚染地帯は、3月15日午後の気象条件が重なり形成されたことが日本原子力研究開発機構の解析でわかった。2号機の事故で放出された大量の放射性物質が雨で地表に落ちた。降雨がなければ、汚染度は大幅に低くなったという。

 北西の帯は原発から約40キロの長さで浪江町、飯舘村周辺。政府が今月1日に公表した線量調査でも、高線量地域は北西方向と原発周辺に集中していた。最高(地上1メートル)は警戒区域が大熊町夫沢(原発から南西約1キロ)の毎時139マイクロシーベルト。計画的避難区域では、浪江町昼曽根(同北西約22キロ)で毎時41.3マイクロシーベルトだった。

 チェルノブイリ原発事故の強制移住対象となった汚染レベルでみると、該当面積は東京都の4割、800平方キロメートルに及ぶ〉

 新聞記者とはなんと優雅で素敵な職業だろうか。いまや、この事実に関しては多くの本が出版され、住民の多くも3月15日の雨として認識している。もちろん筆者も本コラムなどで指摘済みだ。

 当時、新聞のみならず、大手メディアはこの事実を書かないばかりか、否定に躍起になっていた。彼らは何に遠慮し、何を庇っていたのか。

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Information

上杉 隆 [ジャーナリスト]

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 最新刊は、『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著)『放課後ゴルフ倶楽部』『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)

 


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