86万人の「人間時限爆弾」 大人のゲーム中毒者たち(下)

就職・家庭不和のストレスで毎晩ゲーム漬け

 米国の名門大学を中退した男(24)は昨年12月、「6カ月間家に引きこもり、オンラインゲームだけをして過ごしていたが、急に人を殺したいという衝動に駆られた」として通行人を凶器で刺し殺した。同月、忠清南道天安市では1日10時間以上ゲームに熱中していた男(27)が、ゲームの最中に2歳の息子を部屋で暴行し、首を絞めて殺害した。

 ゲーム中毒が原因で離婚につながるケースも多い。大法院(日本の最高裁判所に相当)は2009年、ネットゲームに熱中し、子育てなど家事を顧みない場合は離婚の理由として認められるという判決を下した。この裁判では、夫(44)が結婚後もほぼ毎日、午前1-2時まで1日6時間以上ネットゲームに熱中するなど中毒状態にあった。

 大人のゲーム中毒は青少年期に始まることがほとんどだが、青少年とは異なり、親をはじめとする家族がゲームをしないよう監視するのは難しいため、問題はより深刻だ。中央大学神経精神科のハン・ドクヒョン教授は「少しゲームに夢中になった場合でも青少年なら親が病院に連れて来るが、大人の場合、中毒症状がひどくなってから相談センターに訪れるケースがほとんどだ」と話す。

 ゲーム中毒になる大人が増えている一方で、解決策は青少年を対象にしたものばかりということも問題だ。

 今年11月には満16歳未満の青少年が深夜から午前6時までゲームにアクセスできないようにする「シャットダウン制度」が導入される。しかし、大人のための規制は議論すらされていない。

 漢陽大学医学部精神科のアン・ドンヒョン教授は「ゲーム中毒にかかった20-30代の大人たちは慢性化しているケースがほとんど。『大人は自制できるのでゲームにはまらない』という考え方は間違っている」と警告している。

クォン・スンジュン記者

キム・ウンジョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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