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津波の絵本で防災教育 岩手大が沿岸小中学校へ寄贈


 

 盛岡市上田の岩手大は震災後、沿岸被災地の小中学校に宮古市田老の田畑ヨシさん(86)が津波の恐怖を若い人たちに伝えようと制作した紙芝居「つなみ」に英訳と解説を付けた絵本を贈った。

 絵本は2007年、同大教育学部の山崎友子教授が「海外の人にも津波を知ってほしい」と紙芝居に解説と英訳を加えた。約30ページに、左に絵、右にそれぞれ日本語と英語で物語が書かれている。

 今年5月に陸前高田市や山田町など計12市町村の小中学校181校と各教育委員会に1冊ずつ贈られた。

 「つなみ」は1933(昭和8)年の昭和三陸大津波を体験した田畑さんが79年に制作した。きれいでのどかだった宮古市田老町が津波によってのみ込まれ、多くの人の命が奪われた惨状を主人公「よっちゃん」(8歳の田畑さん)の目線で描いている。

 震災後、大船渡市の教育関係者が「津波の防災学習のために被災地の学校に贈ってほしい」と岩手大に依頼。大学は絵本を増刷して、寄贈した。

 山崎教授は「田畑さんの紙芝居には津波から身を守る知恵がちりばめてある。津波を乗り越える力にしてほしい」と思いを込める。

【写真=被災地の小中学校に寄贈された絵本】

(2011.6.21)

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