インタビュー:ボーイング新型機を17年度までに導入=全日空社長

2011年 09月 7日 17:51 JST
 
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 [東京 7日 ロイター] 全日本空輸(ANA)(9202.T: 株価, ニュース, レポート)の伊東信一郎社長は7日、ロイターとのインタビューで、米ボーイング(BA.N: 株価, 企業情報, レポート)の最新鋭中型旅客機「787」の導入スケジュールについて「2017年度までに55機すべてを受領する予定だ」と述べた。

 「787」の燃費性能は現行機に比べて約20%向上しており、55機導入すれば年間100億円の燃料費を削減できる見込み。同社長は、同機の導入で既存路線の採算改善が望めるとともに、大型機では運航できなかった新ルートの開拓も可能になるため、成長の柱とする国際線事業で競争力向上につながるとの期待も表明した。

 同社が導入する55機はボーイング「787」への発注機数としては世界で最も多い。1号機は9月25日(日本時間26日)に米国で引き渡される。ANAは、その後のスケジュールについて11年度中に12機、12年度中に8機を導入する計画までしか明らかにしていなかった。ANAが現在保有する航空機はプロペラ機を含めて228機。「787」は現行中型機の「767」と順次置き換わっていくとみられる。

 「787」は11月1日から羽田─岡山、羽田─広島線で就航。12月からは国際線の羽田─北京線に投入され、12年1月には羽田─フランクフルト線も開設する。伊東社長は「ビジネス需要を獲得していきたい」とし、北米や欧州の国際線について、それぞれ2、3地点を候補地として検討していることを明かした。ただ、実際に飛べるのは「そのうち3、4地点」と述べた。

 <「エアアジア・ジャパン」16年度に売上高1500億円目指す>

 ANAは8月31日、マレーシアのエア・アジア(AIRA.KL: 株価, 企業情報, レポート)と合弁で格安航空会社(LCC)の「エアアジア・ジャパン」を設立した。伊東社長は、これまで余裕がほとんどなかった首都圏の発着枠が2015年に向けて大きく拡大していく、と説明。その中で、ANAブランドではカバーできない新たな需要をLCCで取り込んでいく考えを示した。

 伊東社長は「エアアジア・ジャパン」の16年度のイメージについて、「30機を超える飛行機を運用し、売り上げも1500億円を目指したい」と語った。 ANAの既存ブランドとは需要を食い合う可能性もあるが、既存ブランドはサービスの徹底や質の向上などで既存顧客を確保し、すみわけを図る考えだ。

 <国際経済の減速に懸念>    続く...

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「スイス中銀効果」でも残る懸念

スイスが自国通貨高を阻止する政策に踏み切ったことで足元は円安・株高に。ただ欧州の混乱に伴うマネーの受け皿になれば、トレンドは一転するとの根強い懸念も。  記事の全文 | 関連記事 

 9月7日、全日本空輸(ANA)の伊東信一郎社長は、米ボーイングの最新鋭中型旅客機「787」の導入スケジュールについて「2017年度までに55機すべてを受領する予定だ」と述べた。都内の同社本社で撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

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