テーマ：たばこ増税、1箱700円も視野に

たばこは昨年10月にも値上げされたばかりだが（AP/アフロ）

9月5日、小宮山洋子厚生労働相が記者会見でたばこ増税をほのめかした。2012年度の税制改革以降、段階的に増税を進め、最終的には「1箱700円」まで引き上げたい考え。価格を上げても税収が減らないラインが700円なのだという。

たばこ税は2010年10月に1本当たり3.5円引き上げられており、主要銘柄の価格は現在1箱400円強となっている。

主要たばこ銘柄、価格の推移

時期	価格
1970年3月15日	100円
1975年12月18日	150円
1980年4月22日	180円
1983年5月1日	200円
1986年5月1日	220円
1997年4月1日	230円
1998年12月1日	250円
2003年7月1日	270円
2006年7月1日	300円
2010年10月1日	410円

※対象銘柄はマイルドセブン（各種資料より編集部作成）

財務省から反発

これに対し財務省は、たばこ離れによる税収減を危惧。1年間の猶予を厚労省に求めたという。小宮山厚労相はたばこ行政の現状について、税収ありきで財務省が管轄するよりも健康増進のために厚労省が管轄すべきとの持論を展開。

一方の安住淳財務相は「ご高説は承ったが、所管は私」と不快感を示した。早くも閣内不一致が見て取れる。

JTも真っ向反対

日本たばこ産業（JT）の田中泰行執行役員は、2010年10月の増税で販売数量が20％減少したと主張。こうした税収増に結びつかない値上げ施策よりも、政府が保有するJT株500万株を完全売却し、約1兆7000億円の税外収入を確保してはどうかと提案した。

政府はJTの発行済み株式の50.01％を保有する筆頭株主。安住財務相は「政府がどれくらい持つべきか議論が必要」とした。今後は、JTの民営化も検討される可能性がありそうだ。