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武田教授発言、岩手・一関市長「放置できない」 市には抗議疑問視のメール殺到

 読売テレビ(大阪市)が4日放送した「たかじんのそこまで言って委員会」で、中部大の武田邦彦教授が東北地方の野菜や牛肉を「健康を害するから捨ててもらいたい」と発言し、岩手県の勝部修・一関市長が抗議のメールを送った問題で、一関市には7日朝からメールが殺到、大半は市長の対応を疑問視する声だった。勝部市長は産経新聞の取材に応じ、「私の真意が伝わっていない。放置できない問題」との認識を示した。武田教授から返信はなく、7日、再度メールを送ったことを明らかにした。(藤原保雄)

 一関市によると、今月5日の市災害対策本部会議の席上、「市民から情報があった」として、武田教授の発言が取り上げられた。勝部市長が発言をネットの「ユーチューブ」で確認、6日にメール送信した。

 一関市では市内4つの消防署近くで毎日放射線量を測定している。市によると、7日の放射線量は毎時0.3マイクロシーベルトを下回っており、暫定基準値を大幅に下回っている。

 7月には8日と14日に市内すべての小、中学校、幼稚園、保育園111施設の放射線量を測定、3施設で毎時1マイクロシーベルト以上の数値を観測した。市は土砂を入れかえるなどの措置を取り、数値は大幅に減ったという。

 7日は午後5時までに254件のメール、6件の電話が寄せられた。大半が「市長名の抗議は行き過ぎではないか」「抗議先が間違っている。国や東京電力に抗議すべき」と市長の行動を疑問視する意見だったという。

 一関市は「武田教授の発言は全体としては国の責任で除染すべきという内容であり、理解できる部分もある。しかし『畑に青酸カリがまかれたようなもの』という発言は論外で、市民感情を考慮してほしかった」として、市長の対応に誤りはなかったという認識だ。

 一関市を管轄するJAいわて南の幹部は武田教授の発言について「特定の地域を対象に根拠がない発言が目立った。収穫の秋を迎えて農家が頑張っているさなか、農家の感情を逆なでしている」と憤りを隠さなかった。

 JAいわて南では8月27日から全頭検査と並行して肉用牛の出荷を再開、「市場に出回る野菜や牛は検査を経ている。風評に惑わされず消費者の方は冷静な判断を」と呼びかけている。

     ◇

 一関市の勝部修市長との一問一答は次の通り。

 −−県内外からメールや電話での批判が一関市に寄せられているようですが。

 「中には『一関市は子供の命を守る気があるのか』というメールもありました。私の真意が伝わっていない」

 −−武田教授のどういう点を問題視したのですか

 「番組の中で教授は小学生の子供たちに向け『畑に青酸カリがまかれた』と発言しました。私はこうした表現はとんでもないことだと思い、放置できないと思いました」

 −−一関市にはいわゆる「ホットスポット」がありますが

 「それは事実で、放射性物質の値が高いところもあります。ただ人体に影響があるものではなく、牛や野菜も大半は暫定基準値を下回っています」

 −−一関市は独自で放射性物質の測定をしていますが

 「政府・与党に対しても7回にわたり上京し、国の安全基準を示してほしいなどの要望を重ねてきました。子供たちの命を守るために努力してきたつもりです」

 −−武田教授の意見に賛同する部分は

 「国が責任をもって除染すべきというのは、その通りだと思う。放射線対策で国は具体的な対策を示していません。『ただちに人体に影響が出るものではない』と言われても対応のしようがない」

 −−武田教授から返信は

 「ありません。7日に再度メールを送りました。私の主張の真意を多くの人に理解していただきたいと思っています」

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