2009年05月03日

「Mary and Max」Adam Elliot

2009050301.jpg
Adam Elliotはメルボルンのアニメーション(正確にはclaymation)作家。2003年にオスカー賞を獲得した彼の前作「Harvie Krumpet」を観て、その独特の絵柄とストーリーに惹かれた。この「Mary and Max」は彼のフルレングスのデビュー作で、期待に違わず素晴らしい出来だった。
時は1976年、メルボルン郊外に住む8才の女の子メリーがニューヨークに住む44才の太ったユダヤ人マックスと文通を始める。住む場所も年も離れていても、二人には共通点があった。Asperger's Syndrome(アスペルガー症候群)を患い誰とも話をしないマックス。不細工でいじめられっ子のメリー。二人とも孤独で誰にも愛されたことがなかった。
物語は20年も続いた二人の文通を中心に進むが、何も解決はしない。メリーの両親は冗談のように死に、毎日チョコレートをむさぼり食うだけのマックスもまたメリーに会うこともできずに死ぬ。メリーは酒に溺れ、夫に逃げられ、家に引きこもりになる。マックスはメリーにメッセージを贈る−「Love yourself first」。ほんの偶然にもこの言葉が自殺しようとしていたメリーを救う。
そして1年後、生まれたベビーを抱いてメリーはニューヨークへマックスに会いに行く。そこで見たものは、天井に張り付けたメリーの手紙を見上げながら幸せそうに息を引き取っていたマックスだった。世界でたった一人だけだが自分のために泣いてくれる相手を見つけたメリーとマックスは幸せなのだろうが、ここで幸せという言葉はあまりに軽すぎる。
彼の描くアニメはチェコの人形劇のように暗い。奥行きのないフラットなディズニーとは対局にある。セピア色に近いダークなトーンで、あらゆる汚れが澱のようにたっぷりとしみこんだ絵だ。細く描き込まれたディテールは、可愛らしく、ユーモアにあふれ、おまけに不潔で歪で残酷だ。DVDが出たらぜひ買ってもう一度細部を観てみたい。
音楽の使い方もうまい。陽気でお気楽なオージーではなく、SPKやニック・ケイヴを生んだオーストラリアの別の面を見せてくれる。
2009050302.jpg
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/28857252
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック