福岡市の給食 「安全性」ツイッターで拡散中
福岡市の給食 「安全性」ツイッターで拡散中 09/07 19:51

さて、インターネット上で短い書き込みをする「ツイッター」で今、福岡市の給食の安全性を疑う意見があふれていますのをご存知でしょうか。

ネット上で飛び交っている情報の中で、何が正しいのか、取材してみました。

●ツイッターへの書き込み(別ナレ)
「拡散希望。福岡市、9月からの学校給食に東北・北関東産の食材を使用が決定。みんなで声をあげて変えていきましょう!」

こんな書き込みがツイッター上に広がり出したのは、日曜日あたりでした。

福岡市の教育委員会には、小学校の給食が始まった今週になって、市民だけでなく、全国各地からの問い合わせが相次いでいます。

140字以内で、情報や意見を投稿するツイッター。

書き込みは、『つぶやき』や『ツイート』と呼ばれます。

ある人のツイートを読みたいと思った人は、その人をフォローします。

フォローする人が仮に200人いれば、この人のツイートは200人全員に届きます。

このツイートをもっと広く知らせたいと思った人は、さらに自分のフォロワーに転送していきます。

こうして今、福岡市を批判する書き込みが全国に広まっています。

ツイッターに実際に書き込まれている内容です。

●ツイッターへの書き込み内容(別ナレ)
「9月から福岡市の学校給食に、東北、北関東産の放射線未検査の食材を使用することが決定したらしい」
「もし本当だとしたら子どもを殺そうとしているとしか思えない」

RKBが調べてみると、発端は教育委員会が今月1日、保護者あてに配った1枚のプリントでした。

給食の食材について、『市内産、県内産、九州産を優先的に使用』と明記されていますが、その後に続く、『不足する食材や季節的に調達が難しい食材については、九州産以外の食材も使用』という表現が、保護者の不安をかきたてたと考えられます。

福岡市の教育委員会にかかってきている電話には、「九州産以外の産地とは具体的にどこか」、「九州産以外の食材は使わないで欲しい」という声が多いということです。

福岡市教委によりますと、九州以外の産地とは、具体的には、ジャガイモとにんじんは北海道か青森、たまねぎが北海道、キャベツやレタスは群馬を予定しているということです。

●福岡市教育委員会健康教育課・〆野忠雄課長
「学校給食の食材で主なものは、15トンから20トン近く、ひと月の間に使います。大量の物資をきちんと調達していくというのは、厳しい部分があります。とにかく、各都道府県で放射線値を踏まえたものが公表されています。我々も業者もその数値を確認した上で、取り引きしてもらってます」

しかし、福岡市の給食についてのツイートは、不安をあおるものも含めて今もどんどん拡散しています。

コミュニケーション学の専門家は、ツイッターの特性をこう指摘します。

●西南学院大学コミュニケーション学・宮原哲教授
「有益な情報がいち早く伝達されるということもあるが、憶測が憶測を呼んで、もともとはいったい何だったのかが分からなくなってしまうような情報のやりとりは怖いことだと思います。そこで流される情報が自分にどんな意味を持っているのか、一人一人が吟味することが必要だと思います」

なぜ、誤った情報までまことしやかに流れているのでしょうか。

その背景には、震災後の不安な心理状態があると宮原教授は分析します。

●西南学院大学・宮原教授
「誰だって不安というものは不快なものだから、これを解消するためにはできるだけ、そこを埋めるような情報を仕入れることによって、いくらかでも自分を安心させたいと思っている。市がいまひとつ明らかにしていない部分に、こんな情報があるんじゃないかという憶測をつけることで、自分を満足させて、周りにも同調してもらいたいという気持ちがある」

福岡市は今後、全ての食材の産地を公表することも検討しています。

●福岡市教委健康教育課・〆野課長
「産地を公表できないかということで、ネットで見ることが出来ない方もいるので、学校できちんと応対していただく形が取れればいい。地産地消を出来る限り進めたいということで、今いろいろな工夫を進めてきているし、これからもさらに進めて生きたいと考えている」

●深見敦子記者
「子どもが、毎日のように口にする給食の安全性について心配するのは親として当然だと、私も思います。しかし、今回の書き込みには誤った情報や憶測も多く、そうした情報に過剰に反応するのではなく、立ち止まって、冷静に考えることも必要なのではないでしょうか」

実はきょう、大野城市の教育委員会がこんな発表をしました。

放射性セシウムに汚染された稲わらを与えられた可能性のある牛肉が、大野城市の一部の小学校の給食で使用されていたという内容です。

実際に放射性セシウムが含まれていたかどうかは不明だということですが、最も高く想定しても、摂取した量は0.00087ミリシーベルト、アメリカへの飛行機に乗った場合の100分の1以下ということです。

ここで大事なのは、教育委員会が、「ごく微量であっても、可能性があれば、分からなくても発表している」という事実です。

誰でも、子供の健康だけは守りたいと考えています。

基準値が本当に安全なのかという、全国的な問題とは分けて考えなければいけません。

不安な気持ちになるのは当然ですが、きちんと調べて情報を提供いたしますので、今日感テレビで私たちのニュースをご覧いただきたいと思います。