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最終更新:2011年9月7日(水) 20時8分

4か所の「土砂ダム」、決壊のおそれ

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 奈良や和歌山などでは、土砂で川がせき止められる「土砂ダム」ができています。決壊のおそれもあるという「土砂ダム」。一体どういうものなんでしょうか。

 奈良県十津川村の長殿地区。豪雨で崩れた山の土砂が積もり川がせき止められています。これが天然のダム「土砂ダム」です。

 台風前、衛生写真にも写らないほど小さな川。今は土砂により、川の幅は50メートル、高さおよそ80メートルに達しているとみられています。国土交通省によりますと、この土砂ダムなど、奈良、和歌山両県で確認された4か所の土砂ダムで決壊のおそれがあるといいます。

 「崩れてたまった土砂なので、非常にもろくて流れやすい」(【独】土木研究所・小山内信智博士)

 これは国土交通省が行った土砂ダムの決壊実験。土砂でせき止められた水が筋となって流れ出しています。その後、徐々に水の筋は大きくなり、流れ出す水の量は増え、そして、土砂は崩れ水が一気にあふれ出しました。

 「(Q.普通の土石流と比べると?)何十倍、場合によっては何百倍という規模の現象が起こりうる」(【独】土木研究所・小山内信智博士)

 国交省・北陸地方整備局が作った土砂ダム決壊のシミュレーション映像では、土砂ダムは崩れ落ち、大量の水と土砂が土石流となって一気に下流へと流れ込みます。土石流はあっという間に住宅街をのみ込み、甚大な被害をもたらすことがわかります。

 土砂ダムは豪雨だけではなく、地震による土砂崩れでもできます。7年前の新潟県中越地震。新潟県山古志村の中心を流れる川が土砂崩れでせき止められ、村が水没しました。水を抜くための工事は難航。緊急対策の水路が完成するまでに2か月近くかかりました。

 今回できた4か所の土砂ダム。たまった水が少しずつ下流に流れ出しているダムもあります。

 「天然ダムは比較的短い時間で決壊してしまうケースが多いので、安定化させるための工事をするのは非常に難しい。安全であるということが確認されるまでは、とにかく避難」(【独】土木研究所・小山内信智博士)

 自治体は、下流部の一部の住民に対し避難勧告や避難指示を出し、警戒を強めています。(07日18:09)

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