“上司と部下の関係”お国柄事情

仕事上の人間関係で頭を悩ませるのは、何と言っても上司と部下の関係。上司の能力に対しイラ立ちを覚える人も少なくないと思うが、イギリスのある調査によると、なんとイギリスの就労者の7割が「上司は仕事ができない」と感じ、一方、中国やインドでは上司の能力を認める傾向が高いそう。国によって上司と部下の関係には違いがあるのか、世界各国に拠点を持つ人事・財務およびリスクマネジメント関連のコンサルティング会社、タワーズワトソンの岡田恵子さんに伺った。

「弊社が世界規模で行っている意識調査をみると、国の文化や風習による違いが、ビジネスの現場にも影響しているということはなさそうです。方向性や優先順位を明確にできる、自分の言葉で説明できる、バックグラウンドによらずフェアに対応できるなど、仕事での資質や人間性という普遍的な要素が、どの国においても等しく上司に求められ評価されています」

とはいえ、中国やインドといったいまだ強権的な風土が根強く残っている国では、上司に意見したら有無をいわさずクビ、なんて事態もあり得るとか。逆に、イギリスのように社会的に成熟した国は比較的、自由な発言権があると聞く。最終的に求める“上司像”は同じだが、その前にクリアすべき問題が残っているという点で、社会の成熟度が関係しているようだ。

ところで中国やインドといえば、今は経済成長期。勤務先の業績が上り調子なら、社内の雰囲気も良いだろうし、それによって上司への評価も高めに出たりするのだろうか?

「調査結果によると、国の経済状況によって上司への評価度が大きく変動することはないようです。ただし、企業が創業期、変革期、成長期のどの状態にあるかによって、求められるリーダーシップは異なり、それが上司と部下の関係に影響することはあると思われます。ちなみに、部下の上司に対する評価は、主要国の中で日本は非常に厳しく、ほぼ最下位の低さです。バブル崩壊後に新規採用を控えた結果として若手が入ってこず、部下の管理・育成の経験を十分に積めないまま上司になった人が増えたことも理由のひとつと考えられます」

しかし、上司の評価は部下の成熟度や品格が問われる部分でもあると岡田さん。調査結果からも、特に日本のR25世代は上司に過度なケアやフォローを求める傾向が強く、他責意識も強いのだそう。それゆえ、求めるものが多すぎて、期待に適わないと上司を厳しく評価するという懸念がある。いい上司と部下の関係には、お互いが自立して尊重し合い、それぞれの役割を全うすることが大前提。人の評価は相対的なものに過ぎないので、結果だけを鵜呑みにしても実態は見えてこない。人間関係の難しさは、このあたりにも理由があるのだろう。(桑島志乃)
(R25編集部)

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