ライフ【産経抄】9月7日2011.9.7 02:41

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【産経抄】
9月7日

2011.9.7 02:41

 サッカーの「なでしこ」チームが順調だ。8日の北朝鮮戦に勝てば、1位での五輪予選通過が決まる。楽しみに待ちたいが、もうひとつ興味を覚えるのは、このアジア予選が中国の済南で開かれていることである。戦前の「済南事件」の舞台として名を残すからだ。

 ▼「事件」は昭和3(1928)年5月に起きた。済南に居住する約2千人の日本人を保護するため派遣された日本軍と、いわゆる「北伐」途上の中国国民党軍とが衝突した。多くの居住日本人が惨殺されたほか、当時の日中間に大きな亀裂を生んだ。

 ▼済南は古くから交通の要衝として知られた。20世紀初めごろ「開都」され、日本人をはじめ多くの外国人が住むようになる「国際都市」だった。大正末にメッカに巡礼して、日本のイスラム信仰や研究に大きな影響を与えた田中逸平も、この町でイスラムに入信している。

 ▼だが交通の要衝であるがために、蒋介石が中国統一を目指して北上する「北伐」の進撃路に当たった。しかもその北伐軍には反日的行動も多かった。日本人保護のための出兵は、日本にとってやむを得ない判断だった。中国内戦に巻き込まれたともいえる。

 ▼だがこの「事件」は戦後の日本人にはほとんど知られていない。語られるとしても「山東出兵」として日本の軍事行動ばかりが強調される。中国の内戦や反日感情の激しさについては黙殺される、一方的歴史観が幅をきかせてきたのだ。

 ▼そのことと今回のサッカーとはむろん関係ない。過度なナショナリズム抜きで淡々とプレーが進んでいるのは、むしろ気持ちがいい。ただせっかく歴史的町で開かれているのだから、日中の歴史を正しく学ぶ契機になればいいと思う。

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