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ぴーかんテレビの問題を再度検証する

コデラノブログ4

テロップ送出の技術的な視点



次にテロップの送出についてである。前回のエントリーでは、なんでDSKをONにしっぱなしなのか、という点を指摘したが、報告書の中では完パケの通販番組放送中にも、番組ロゴをここで出していたということがわかった。

事故のあった番組のうち、問題のテロップが出る直前と直後を比較したところ、事故前に左肩に小さな番組ロゴがあり、事故後はなくなっているということが確認できた。

テロップ前

テロップ後

今更言ってもしょうがないことだが、かなり小さい。かなり番組にコミットしていないと、こういうものを今現場で出してるよ、というのが認識しづらいレベルである。まあ小さくてもテロップには違いないので、テロップチェンジすれば次のものが出てしまうわけだが。

ただ報告書によれば、問題のテロップはスタジオ送り用のT2の中には見当たらず、OAに出るT1の中にあったという。これをわざわざ見つけて出してしまったというのだから、新人TKさんもT1とT2の使い分けをよく把握していなかったのではないか。さらにテロップというものが、どのようなルートで出されているのかの技術的な理解をしていなかったのではないか。

さらに悪いことに、テロップ制作者の男性も、T1とT2がどのように使い分けられているのかを把握していなかったと証言している。しかしそれでは、現場は大変だろう。なにせOAで使うものとスタジオで使うものが、区別なくどっちかのテロッパーに入っているだけなのである。送出現場でテロップの整理をするプロセスがあったのだろうか。それに関しては報告書の中にも記載がない。

昔のNHKの経験では、テロップ発注伝票の中にこのテロップはどこに送る、という指示も付けていたような記憶がある。そうすれば、テロップ制作者までが送出システムの構造まで把握しなくて済むからだ。東海テレビではどのテロップをどこに送るといった指示がどのようになされていたのか、気になるところである。

報告書に記載のシステム図を見ると、T1とT2はほぼ同じの配線になっていることがわかる。つまりどちらのテロッパーも、OAに出せるし、スタジオモニタにも出せるようになっている。実際には2枚のテロップを同時に画面に出すこともあっただろうから、T2は常にスタジオ用というわけでもなかったようだ。

まあこれを使ったテロップ送出を、技術者とは言えないTKさんにやらせるというのは、まあちょっと難しいんじゃないかと思う。以前のエントリーでスタッフ構成の問題として指摘した部分だが、そういうのはアシスタントクラスでも構わないから、技術者がやるべきなのではないか。

技術畑の人間同士であれば、システムを把握しているかどうか、常に上司にチェックされる。しかし制作系のスタッフの場合、技術的な理解はチェックされる機構がない。できるよね? 前やったことあるでしょ? ぐらいで済まされるケースも多い。

まあ出ちゃったものはしょうがないが、マスター担当者も結構杜撰なところがある。このときは2名が勤務していたそうだが、映像監視の担当者が次のCMの順番を確認するため、予定表に目を通していたという。この2名も派遣社員だというが、OAの監視で2人とも目を離したらダメだろう。そのための2名体制なのだ。2名で目を通さないとCMチェックがやりきれないのなら、3名体制にしなければならない。

筆者がポストプロダクション勤務の時は、素材上げ(収録用テープから編集用テープへのダビング)の際でもモニターから目を離すなと厳しく言われたものである。素材なんてこういっちゃなんだが、OAで使われる量の20倍から100倍ぐらいの映像量がある。それを全部、単なるダビング時にも目を離さず監視しているわけだ。そのおかげで今でも、食事時にテレビが点いていると、ついつい目を離さずしっかり監視してしまう。テレビを食い入るように見てオマエは子供かと、妻に笑われっぱなしである。

それなのに一番OAに近い技術者がそう簡単に目を離しちゃったら、過去オレ達が目を真っ赤にしてやってきた20年は一体なんだったの? と問いたい。

最後に、一度にすべての資料に目を通してからエントリーを書けば良かったのだが、断片的な情報を元に書いたものが続いてしまう結果となった。東海テレビにも間接的ながらご迷惑をおかけしたことと思う。ここに改め謝罪させていただく。
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