大邱世界陸上:「韓国人選手にはチャレンジ精神がない」(下)

「国民的マラソンランナー」李鳳柱の韓国陸上界診断

 李鳳柱は学校で体育の授業が軽視されていることを指摘し、中でも陸上競技が無視されている現実を嘆いた。李鳳柱は「これまでずっと指摘されてきた問題だが、韓国ではマラソンや陸上競技を選ぶ選手が非常に少ない。また少しでも実力があると、人気種目に流れてしまう」「私も幼いころ、(金を稼ぐことができる)サッカーや野球の選手になろうと思っていた」などと述べた。人気スポーツの選手になるためには、親にある程度の経済力が必要だが、李鳳柱の家は生活が苦しかったため、その願いはかなわなかったという。その結果、李鳳柱はあまり金のかからないマラソンを続けることになったが、これが韓国にとっては非常にラッキーだったというわけだ。

 韓国では陸上競技選手の多くが国内の「全国体育大会」だけを念頭に置いて練習しているが、李鳳柱はこれも問題だと指摘する。各自治体が選手に数千万ウォン(1000万ウォン=約72万円)から1億ウォン(約720万円)近い高額な給与を支払う理由は、この大会でのメダル獲得を期待しているからだ。そのため選手たちも記録より順位を優先し、国際大会では記録に対するチャレンジ精神がなく、最初から敗者のメンタリティーを持ちあきらめているというわけだ。

 李鳳柱は「全国体育大会のように特定の大会だけに集中するのはよくない。また、この大会の点数集計方式なども見直す必要がある」と指摘する。

 韓国が国際的なレベルにある種目としては、マラソン以外に競歩がある。李鳳柱は「競歩は海外でもそれほど多くの選手はいない。集中的に投資を行えば、良い成果を出すことができるだろう。サムスンに所属する選手が今大会で良い成績を出したはずだ」と語る。今回の世界陸上競歩に出場した5人の韓国人選手のうち、4人はサムスン電子の陸上部に所属している。男子20キロ競歩で6位に入ったキム・ヒョンソプが最も実力の高い選手とされ、男子50キロで7位に入ったパク・チルソン(国軍体育部隊)も、除隊後はサムスン電子に復帰する予定だ。

 李鳳柱は「大企業が積極的に投資を行い、その基盤の上で選手は責任感を持って練習に励むしかない。そうすればいつの日か状況は変わるだろう。私も指導者として、今後も協力していきたい」と述べた。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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