専門家ゲスト:安斎育郎さん(立命館大学名誉教授・放射線防護学)、石丸隆さん(東京海洋大学教授)
ゲスト:内藤剛志さん、室井佑月さん
解説委員:合瀬宏毅
リポーター:小林孝司アナウンサー
福島第一原発事故から4か月たった今、心配な「食品の放射能汚染」。“どこでどうやって検査をしているの?” “私たちの食卓に届くものは本当に安心できるの?”という疑問と不安に応えるべく、「魚」「牛肉」「牛乳」を中心に食品検査の実態をご紹介しました。
国が、原発周辺の14の道府県に検査の要請をしています。検査は、(1)淡水にすむ魚(2)沿岸にすむ魚(3)回遊する魚、それぞれに行います。(1)(2)は各自治体が、(3)は業界団体が検査しています。検査は週に一度程度。直近1か月の数値が暫定規制値を下回っている場合は、2週間に1回に頻度を下げてもよいとされています。
検査をするときは、通常食べない部分は除去し、調理する時に近い状態にしてから測っています。内臓より身の部分にセシウムがたまりやすいため、その方が正確に検査できるとされています。
また、ストロンチウムについてはこれまで一度しか検査されていません。ストロンチウムの測定には、通常1か月ほど時間がかかってしまいます。水産庁は再度検査する予定ですが、具体的な日程は決まっていません。
日本海洋研究開発機構では、海水のセシウムの濃度の実測データと、海流の流れを組み合わせ、汚染の広がりのシミュレーションを作成しています。これによると、汚染は風で南に流された後、黒潮と親潮がぶつかる地点で東に流されています。その後、多数の潮の渦に巻き込まれて広く拡散しています。現時点では、ほとんどの部分で0.5ベクレル/リットル未満まで希釈されています。
福島県では、週に一度、県内各地の酪農家が原乳を搬入するクーラーステーションごとに検査を行っています。
※これまでに原乳の出荷制限がかかったのは「福島県」と「茨城県」です。
茨城県でも同様の検査が週に一度行われてきました。
原子力災害対策本部は対象自治体(福島、茨城、栃木、群馬、千葉、神奈川、宮城、山形、新潟、長野、埼玉、東京、山梨、静岡)で2週に一度を目安に検査を行うよう示している。
牛を出荷した福島県南相馬市の畜産家は、サーべイメーターという測定器で牛の体の表面を測定する福島県のスクリーニング検査を受けていましたが、その時は異常はありませんでした。ところが、出荷先の東京都の食肉処理場で解体された肉を調べたところ、セシウムが検出されたのです。
屋内で飼育し、えさは管理した配合飼料、井戸水を与えていたという、今後詳細な分析が望まれます。