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東日本大震災 津波避難ビルの重要性が認識される中、指定はなかなか進んでいません。

フジテレビ系(FNN) 9月6日(火)13時7分配信

まもなく東日本大震災から半年です。
宮城・南三陸町で巨大津波が迫る中、ある男性は自宅にとどまることを選んだといいます。

3月11日、宮城・南三陸町の防災対策庁舎の屋上で、迫り来る津波を見つめる人々。
次の瞬間、津波はすべてをのみ込み、わずかに水面に出たアンテナに懸命にしがみつく人の姿が。
津波で、すべて流された防災対策庁舎。
須藤正彦さんは、この防災対策庁舎から400メートルほど離れた海岸沿いに建つ、松原町営住宅に住んでいた。
須藤さんは「全部沖から流れてきた、この養殖棚、カキの。それが全部4階はずらーっと来てますね」と語った。
6メートルの津波を防災無線が伝える中、須藤さんはこの住宅で津波をやり過ごすことを選んだ。
須藤さんは「2階が(津波で)埋まった時に、6メートルじゃないぞって、そこで思ったんですね。6メートル以上だと。3階に(津波が)来た時に、もうやばいと思って、とりあえず、かばんの中に衣服詰め込んで、屋上に逃げたんです」と語った。
須藤さんが住宅にとどまった理由は、津波避難ビルに指定されていたからだった。
津波避難ビルとは、津波浸水予想地域の中にある建物のうち、高さや耐震性などの基準を満たし、津波が起きた際、緊急避難できる建物。
しかし、今回の津波は、予想を超える水位で襲ってきた。
須藤さんは「まさか15メートル以上の津波が来るとは思ってなかったですし、もう(津波が)4階に来た時は、このまま死ぬんだって思いました。もうだめだと」と語った。
屋上の高さを越し、ひざ元まで上がってきた津波。
しかし、津波避難ビルは耐え抜いた。
国土交通省は、今回の震災の被害をふまえ、全国に避難ビルを増やすため、今までの基準を見直そうと動き始めている。
神奈川・小田原市では、市の人口の4割が、海抜10メートル以下の地域で暮らしている。
震災前は、1軒もなかった津波避難ビル。
高さと構造を満たす建物は1,000軒を超すものの、すべての要件を満たすのは、わずか90軒ほどだった。
そのうえ、マンションなどでは、住民全員の了承が必要になるため、避難ビルの指定はなかなか進まなかった。
この日、市の職員が最終説明に訪れたのは、屋上の高さが海抜20メートルほどの水産合同庁舎。
市の担当者は「24時間、365日いつでもOKですよというならば、非常にありがたい。外階段があって、それで外廊下があって、それで入っていきますよというのが、なかなかですね、なくて」と語った。
およそ1カ月に及ぶ協議の結果、9月1日付で津波避難ビルの協定を結ぶことになった。
ビル管理者は「地元の人たちに、われわれの施設が、そうやって使っていただければ。一時避難ではあるんですけれども、そういうことが提供できることはうれしく思います」と語った。
今回の震災で、重要性が認識された津波避難ビル。
津波の恐怖を身をもって体験した須藤さんは、必要な場所に早く避難ビルをと願っている。
須藤さんは「その地域地域によって、いろんな選択はあるとは思うんですけども、やっぱり(津波避難ビルは)必要なのかなとは思います。建物のおかげで今回は助かりました」と語った。
国交省の2010年の調査では、全国の沿岸部で、この津波避難ビルを指定していない市町村は、7割以上にのぼるという。

最終更新:9月6日(火)13時27分

Fuji News Network

 

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