apdc

【開 発】

2007年1月10日
株式会社 次世代PDP開発センター

 

テレビなどの動画の解像度を定量評価できる「動画解像度(*1)測定システム」を開発「動画解像度(APDC方式)」測定方式に準拠


株式会社次世代PDP開発センター(*2)(以下APDC)は、同社が昨年開発した動画解像度測定方式(2006年10月18日既報)に準拠し、テレビなどの動画解像度を定量測定できる「動画解像度測定システム(APDC方式)」を開発しました。
「動画解像度(APDC方式)」は、これまで困難であった、テレビなどに用いられる表示ディスプレイにおける、動きのある画像の表示性能を定量化できる測定方式で、開発発表後、国内外のディスプレイメーカーやテレビセットメーカーなどから、高い関心が寄せられています。

今回開発した「動画解像度測定システム(APDC方式)」は、目視による主観的な定量評価を発展させ、カメラを用いた機械測定により、客観的な定量評価を可能にしたものです。

これにより、画面を見ている人の網膜上に形成される画像を模擬的に再現、かつ分析する事ができ、ディスプレイの動画の解像度を、「見る人の視覚」に近い尺度(単位はTV本(*3))、または静止画解像度に対する低下比率(%)で表すことができ、本システムで測定されたデータに基づいた客観的な評価を可能にします。

APDCは、今後、表示ディスプレイの動画表示性能を定量化できる本方式及び測定システムの活用を、ディスプレイメーカーやテレビセットメーカーなどに広く提案すべく、計測機器メーカーと共同で、本システムの製品化を進めて参ります。 また、引き続き「動画解像度(APDC方式)」を、テレビの表示性能を表す一つの重要な指標として採用されるよう、強力に推奨していくことで、流通やテレビユーザーに対する正しい知識の提供と理解促進につなげてまいります。

なお、APDCは、本「動画解像度測定システム」を、1月8日から米ラスベガスで開催される「2007 International CES(*4)」に併せて開設する、APDCの特設会場(*5)において展示し、技術内容及び評価画像の紹介を行います。

◆ 開発の要旨 「動画解像度測定システム」
 今回開発したシステムは、動画解像度の評価画像をテレビの動画像の動きを模した速度で動かし、カメラの動きを評価画像の動き速度に合わせて制御して撮影し、得られた画像データを数値解析処理することにより、測定データに基づく客観的な定量評価が行えるようにしたものです。

【システムの構成】
本システムは、追随撮影カメラシステム、信号発生器、制御用PC、数値解析ソフトによって構成され、ディスプレイに表示された評価画像を自動的に撮影・数値解析して、動画解像度を数値表示します。

図1 動画解像度測定システムの構成図

図1 動画解像度測定システムの構成図

 

【本システムによる測定例】
  本システムは、以下の手順により、ディスプレイの動画解像度を測定します。
(1)評価画像(4本線パターン)の追随撮影
    動いている被写体を目で追いかけた場合、網膜上にはあたかも被写体が止まっているかのような映像が再現されます。これを模擬的に再現するために、本システムではディスプレイに表示された画像を追随撮影する機能を備えています。具体的には、表示動画スピード (*6) が約5〜6[秒/画面]となるよう、評価画像をスクロールさせ、追随撮影カメラが、評価画像の動きに同期して、解像度によって周期が異なる評価用4本線パターンを順次撮影します。図2に、フルHDテレビに表示された評価画像を、本システムを用いて撮影した例を示します。

 
測定解像度   300 350        900    [TV]

図2(a) ディスプレイA における評価画像撮影例 (900TV本においても4本線パターンが識別できる場合)

 
測定解像度   300 350        900    [TV]

図2(b) ディスプレイB における評価画像撮影例 (300TV本まで4本線パターンが識別できる場合)


(2)測定画像の数値解析と判定
撮影した画像をフーリエ変換(*7)などを用いて数値解析し、理想の応答波形との比較を行い、それぞれについて、所定の基準を満たしているかを判定します。図3は、種々の解像度に対応した測定画像についての判定例を示します。ディスプレイAは950TV本まで基準を満たし、ディスプレイBは300TV本まで基準を満たしていることを示しています。

 

図3 種々の解像度に対応した測定画像の判定例

 

(3)動画解像度を数値表示
(1)、(2)の手順を、評価パターンを形成する背景部分の明るさや、4本線の濃さが異なる合計9種類の評価画像について行い、9種類の評価画像の判定結果を総合して、ディスプレイの動画解像度を決定します。図4は9個の判定結果と、それらの平均により決定された動画解像度を示しています。

 

図4 動画解像度の数値表示例


【本システムの特長】
今回開発した動画解像度測定システムは、以下の特長を有します。
1)多様なディスプレイの動画解像度測定が可能
本システムは、評価パターンをディスプレイに表示させ、カメラシステムで追随撮影し、数値解析を行い、動画解像度を算出するもので、液晶やプラズマなど、多様なディスプレイについて、測定することができます。

 

図4 動画解像度測定システム例

 

2)テレビに表示される様々な動画像の解像度を総合的に評価することが可能
本システムに採用されている評価画像は、「動画解像度(APDC方式)」測定方式に準拠しており、明るさや絵柄が異なる様々な映像の解像度を総合的に正しく評価することができます。

3)目視による定量評価との高い整合性
本システムの評価画像は、昨年発表した「動画解像度測定方式(APDC方式)」に採用された評価画像と同一の要素から構成されており、また、追随カメラシステムは、画面を見ている人の網膜上に形成される画像を模擬的に再現しているので、目視による動画解像度の測定結果と高い整合性を有しています。

 

図5 動画解像度評価画像の例

 
 

[評価画像についての解説]
@テレビに表示される本来の動画像の動きを実現
一般的にカメラで撮った動画像は、ディスプレイの画素ピッチとは無関係な速度で動いています。これを評価パターンで再現するためには、信号源としてディスプレイの画素数以上の情報が必要となります。
APDCが開発した評価パターンは、信号源にディスプレイの画素数の2倍以上の情報量を持たせ、動きの速度とディスプレイの画素位置に合わせて、適切に選択された画像情報によって構成されています。これによって、ディスプレイが持つ本来の動画解像度性能を正しく測定・評価できるようになりました。

A様々な動画像に対応した4本線パターン
明るさや絵柄が異なる様々な映像の解像度を正しく評価できるように、背景レベルや明暗の差の異なる数種類の4本線パターンで構成し、一般的な動画像の解像度を総合的に評価できるようにしました。

B解像度の測定が正しく行える評価パターン
ディスプレイの動画解像度測定に特化した300TV本から1080TV本までの16種類の正弦波の空間周波数パターンを配置し、カメラによる機械測定においても効率的かつ安定した評価ができるようにしました。

C動画解像度の代表値の速度をカバー
「動画解像度(APDC方式)」が定める動画解像度の代表値を求める動画スピード 約5〜6 〔秒/画面〕での測定が可能です。

 

(ご参考)
 APDCにおいて、テレビの動画スピードを計測した結果、以下のような傾向が見られました。

・風景のパンニング映像など 約16〜8 〔秒/画面〕
・ドラマのパンニング映像など 約8〜4  〔秒/画面〕
・スポーツ映像など 約4〜3  〔秒/画面〕
・テロップなど 約3〜2.7 〔秒/画面〕

上記の結果から、動画スピード 約5〜6 〔秒/画面〕は、動画像の平均的な速度に近いと考えられ、APDCでは、この約5〜6 〔秒/画面〕での動画解像度を動画解像度の代表値とすることにより、ディスプレイの動画解像度性能のわかりやすい指標化を行いました。

 

◆ 「開発による効果」
昨今、デジタルスチルカメラやPCなどの普及により、ディスプレイの解像度に関する消費者の認知度が高まっています。
従来は、薄型テレビの部品〔デバイス〕である「パネル」が有する画素数(静止画を表示する場合の値)を、ディスプレイもしくはテレビ受信機の解像度として表示されることが一般的でした。
このため、カタログなど、製品情報を提供するためのパンフレットなどに表示されている「解像度(静止画の解像度)」と、実際に「目視できる解像度〔動画の解像度〕」との間に乖離があるにもかかわらず、ユーザーの目に映る「テレビ(製品)としての解像度」に対する説明が不十分となり、デジタルスチルカメラやPCなど、静止画像を主体的に表示する機器における解像度と、動画像表示が主体となるテレビの解像度が混同されるなど、ユーザーの正しい理解を阻害する要因の一つになっていました。

今回、APDCが開発した「『動画解像度』の測定システム」は、テレビの動画像においても、ユーザーの視覚に近い解像度を定量的に測定することができるため、従来、曖昧であった動画像における解像度を客観的に定義することができます。
これにより、ユーザーの使用実態に即した正しい情報の提供が可能となり、薄型テレビが有する本来の性能の理解促進につながると期待されます。
また、この測定システムが、ディスプレイパネルメーカーやテレビセットメーカーに広く活用されることで、より高画質・高性能な製品開発の取り組みが一層活発となり、薄型テレビの更なる進化に寄与するものと期待しています。


【APDC会社概要】

社    名: 株式会社 次世代PDP開発センター
英文 社名: Advanced PDP Development Center Corporation
本社所在地: 東京都文京区関口 1丁目 20番10号
設    立: 2003年7月7日
資 本 金: 5,000万円
事業概要: プラズマディスプレイに関する技術開発及び生産技術の開発、並びにこれらに関連する事業。特に、NEDO(*8)技術開発機構助成事業プロジェクトのもとで、低消費電力化技術の開発に取り組み、高効率パネルの開発や画期的な製造エネルギーの削減を進める革新的生産プロセス技術の開発などに成果を上げています。
代 表 者: 代表取締役社長 森田 研
出資会社: 株式会社日立製作所、松下電器産業株式会社、パイオニア株式会社

【用語説明】 
*1:  動画像において人の目で解像できる表示の細かさを定量的に表す指標
*2:  上記 APDC会社概要ご参照
*3:  TV本(てれびほん)はテレビジョン画面の水平解像度を現す単位
     画面の垂直方向の高さに等しい水平幅の中に、白黒の線が何本まで見分けられるかを表す。白と黒の線で2本と数える
*4:  会期【2007年1月8日(月)〜11日(木)】/会場【ラスベガスコンベンションセンター】
*5:  展示期間【2007年1月8日(月)〜10(水)】/会場【シーザースパレスホテル】 
*6:  被写体が画面の端から端までを移動するのに要する時間。動画スピードの代表例については上記[評価画像についての解説]の項をご参照
*7:  信号に含まれる周波数成分を分析する代表的な解析手法のひとつ
*8:  独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

以 上

【報道関係者様お問い合わせ先】

(株)次世代PDP開発センター  総務部 金井 電話:03−5225−6436

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