福岡市は5日、博多区役所で住所変更の際などに市民から回収した国民健康保険証など9枚が持ち出され、うち1枚が銀行口座の開設に悪用されていたと発表。回収した保険証を区役所内に放置するなど個人情報管理の在り方が不適切だったとして、全区役所に管理徹底を指導した。
市によると、持ち出された保険証は、福岡市中央区の無職女性(36)が8月2日、ゆうちょ銀行で口座を開設した際に使われていた。同行員が偶然、保険証の名義人の知人だったため悪用が判明。通報を受けた博多署は同10日、再び同行を訪れた女性を、他人の保険証で口座を開設したとする詐欺容疑で逮捕した。
博多区役所では、回収した保険証を通常、その日付か、「喪失」と記す印を押し、窓口の足元に置いた段ボール箱に入れて放置していたという。押印などから、女性は7月22日、職員が窓口を離れた隙に受付カウンターの中に入って持ち出したとみられる。
同区保険年金課は「回収した保険証が悪用されるという認識がなかった」と陳謝。回収した保険証は即座に「無効」と押印し、随時破砕処理するよう改めたという。
博多署によると、逮捕された女性は、送検後、簡易精神鑑定で精神疾患が分かり、8月25日に不起訴になったという。
=2011/09/06付 西日本新聞朝刊=