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【サッカー】

なでしこ3連勝 川澄“王手弾”

2011年9月6日 紙面から

強敵オーストラリアを破り、ハイタッチで勝利を喜ぶ川澄(左)と沢(共同)

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◇五輪アジア最終予選(5日) 日本1−0豪州

 【済南上條憲也、原田公樹】サッカー女子のロンドン五輪アジア最終予選は5日、当地で第3戦を行い、なでしこジャパンはFW川澄奈穂美の決勝ゴールでオーストラリアに1−0で快勝し、無傷の3連勝を飾った。なでしこは勝ち点9で単独首位をキープ。8日に行われる第4戦で北朝鮮を下せば1位が確定し、3大会連続4度目の五輪出場が決まる。0−0で迎えた後半17分に川澄が左足でゴールを決めた。

 5日間で3試合目となる過酷日程。そのいずれも先発でピッチに立った背番号「9」が、ロンドン行きの切符を手元にグッとたぐり寄せる大きな1発をたたき込んだ。

 圧倒的に攻め込みながらもゴールを奪えず、0−0で迎えた後半17分。DF鮫島のロングフィードをゴール正面でFW永里優が胸トラップし、巧みに前方へと送る。そのボールの落下地点に、川澄は力強いステップで走り込み左足を振る。

 「ナガ(永里優)のところにいいボールが来たので。決められて良かった。私、シュート苦手なんで。前半もシュートを外してましたから」

 157センチの小兵が満面の笑みを浮かべた。

 大きなスライドと回転の速い走り。そのフィジカル的な要素が、川澄の並外れた機動力の根幹となっている。特に肩幅ほどに広く左右の足を踏むステップは、大柄な欧米選手を相手にしたときは有効だ。川澄が学生時代を過ごした日体大女子サッカー部の矢野晴之介監督が説明する。

 「彼女は重心移動をさせずに左右両足の2つの軸で走っている。2つの軸でボンボンボンと地面を踏み込む。そのためトップスピードで走っていてもボールを扱えて、細かいスペースでも速く動ける。素質的なものであると同時に、たぶん『気持ち』もあるんだろう。速く走ろうという気持ちが体を動かす」

 しかし、矢野監督はむしろ、フィジカル面を支える気持ちの強さに脱帽なのだという。コーチを務めていた、川澄が大学4年の春。彼女は左ひざ靱帯(じんたい)を断裂し、手術を受けて全治6カ月と診断された。

 「彼女の良さでもあるんですけど、将来はプロになるのだから、今ここで頑張らなくてもという気持ちではなく、やっぱり大学選手権で優勝したいという気持ちでリハビリを頑張っていた」

 グラウンドの外周を歩きながら、ピッチ上でボールを追う同級生、後輩に激しくコーチングの声を飛ばしたという。小さな川澄の芯(しん)の強さが垣間見えてくる。

 W杯ではスウェーデンから2得点。世界から奪ったゴールは、今の川澄の自信でもある。「大柄な選手の方が相性がいいのかな。(今日も)守備の時も相手が付いて来られないですし…。やりやすいっていうよりは、やっていて楽しい。このあとも全試合に先発したいです」。タイ戦に次ぐ今予選2点目は、その楽しいサッカーの成果だ。いつも笑顔の川澄は、アジアでも世界でも強いなでしこのゴールゲッターなのだ。 (上條憲也)

 

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