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91歳「爆弾怖い」 南風原で不発弾処理2011年9月5日  このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

不発弾処理のため多くの患者や入所者が集団避難した=4日午前7時半ごろ、南風原町新川のサマリヤ人病院(一部画像処理してあります)

 南風原町新川のサマリヤ人病院敷地内の不発弾処理のため、同病院や敷地内の関連福祉施設では4日早朝から、大勢の職員が患者や入所者らの移動作業に奔走し、迎えに来た家族の車が列を成した。患者や入所者のほとんどは高齢者。認知症のお年寄りも多く、区域外への移動が困難な重症患者ら200人はベッドや布団の上で横たわったまま、院内待機を余儀なくされた。戦後66年を経過してもなお、不発弾の恐怖にさらされ、弱者にしわ寄せが行く構図が浮き彫りになった。
 午前5時半、院外避難の困難な患者のうち37人がベッドごと院内体育館に移動。多くが介助を受けながらベッドで朝食を済ませ、フロアに敷いた布団で休む患者もいた。前日に簡易の空調機器も取り付けられた中、医療器具が運び込まれ、医師や看護師は患者のケアに追われた。
 宮城県石巻市で3月、東日本大震災の支援活動に参加した前原直輝看護師長(42)は「この光景を見ると、被災地が思い出される。不発弾の対応は初めて。患者だけでなく病院側の負担も大きい。リスクが軽減されるよう、状況が改善されてほしい」と語った。
 たん吸入などの措置が必要な患者24人が待機となった療養病棟。日曜朝の子ども向けテレビ番組の音声と、医療機器の電子音が響く静かな朝を迎えた。避難開始時刻の9時を過ぎ、病室入り口の小窓への衝撃を防ぐ畳が次々と立て掛けられ、迷彩服姿の自衛隊員らが確認に回ると、一気に物々しい雰囲気に包まれた。
 特定有料老人ホーム「むつみ寮」前では、車が連なり、家族が入所者を迎えるなど普段と異なる様子に「分からない、分からない」とつぶやき、落ち着かない様子で玄関を往復するお年寄りの姿もあった。
 介護老人福祉施設「嬉の里」の入所者ら37人は車両で移動し、町総合保健福祉防災センター「ちむぐくる館」に避難。職員27人が介助に回った。午前10時40分ごろ、予定より早く処理完了の連絡が入ると、職員らに安堵(あんど)感が広がったが、今度は施設に戻る作業に追われた。
 宮城歌子さん(88)に付き添った長男・正さん(56)=南風原町=は「不発弾は今に始まったことではないし、これからも出てくるだろう。沖縄戦はまだまだ終わらない気がする」と話した。息子(61)=那覇市=に付き添われた91歳の女性は「戦のことは忘れない。爆弾は怖い。破片が飛んできたこともある」とつぶやいた。


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