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 談論風発 :  日本女性会議を成功させよう/古事記の女性たち手本に
島根県立八雲立つ風土記の丘所長 本間 恵美子

 「出雲の古代に未来のヒントを探ってみませんか?」。そんなキャッチフレーズで、ことし秋に開催される日本女性会議松江大会の第8分科会を担当することになりました。10の分科会の中で、唯一地域密着のテーマ。松江らしさ、島根らしさをぜひ!という事務局の皆さんの強い思いに押され、頭に浮かんだのが、「神々の国しまね〜古事記1300年」が打ち出されているこの時期、まず古事記、さらに歴史を地域づくりに活用して頑張っておられる方々のこと。そして「歴史と文化を生かした地域づくり〜古事記にみる女たち男たち〜」というテーマが決まりました。

 そもそも女性会議とは、1975年の「国際婦人年」と、それに続く「国連婦人の10年」で始まった女性の地位向上、男女共同参画を目指す会議です。ことしで28回目ですが、大きな都市での開催がほとんどで、松江市のような地方都市での開催は珍しいとか。ではなぜ、松江で開催することになったのでしょうか?

 7年前の大会の席上、壇上の講師からのひと声。「島根には女性県議がいませんよね」。今回のスタッフの1人が参加していて複雑な思いを味わったといいます。

 しかし、それで終わらないのが松江の女性。仲間を集って、2人の女性県議誕生の底力を発揮し、6年前から関連するいろいろな大会に参加して着々と松江大会の下地作りに励み、現在に至っています。もちろん行政の理解と助力がなくては実現しませんでしたが、何よりもスタッフの熱い思いと行動力、そしてボランティアで応援参加しておられる多くの方々…。その中で、新たな出会いやご縁ができ、まさに大会テーマ「語ろう、紡ごう、だんだんの縁を世界に」を一歩ずつ実現しつつあると思います。

 古事記にはご承知のように、上つ巻(かみつまき=上巻)の3分の1以上に「出雲神話」が語られています。古事記が編さんされた当時、六十数カ国の国々があった中で、なぜ出雲なのか?という疑問に、今も正確な解答は見つかりません。しかし、その中で、出雲国の国づくりは男神と女神が共同参画して行ったこと、そしてスセリヒメをはじめ、女神たちが自分の意思を明確に表し、主体性を持って行動していたことが語られています。消極的で、思っていることを顔に出さない、と言われてきた出雲の女性ですが、それは男性側からの一方的な先入観だったのでは?

 明治から大正にかけて、平塚らいてうや与謝野晶子など「青鞜(せいとう=雑誌)」の時代に生きた女性たちが手本にしたのも、古代の女性の在り方でした。冒頭の一節は「元始、女性は実に太陽であった!」。

 先日、八雲立つ風土記の丘友の会の講演会に、男性で初めて、女性史学賞を受賞された高知大学の清家章先生をお招きしました。演題は「古墳時代の女性首長と卑弥呼」。講演の要旨は次の通りです。

 「首長は男性に限る!という考え方は、考古学的に否定できる。女性首長は存在していた。しかし、古墳の副葬品に男女の区別があることも事実。女性の古墳からは大刀は出土するが、ほとんどが遺体を守るような置き方で、本数も少なく、戦いの象徴である甲冑(かっちゅう)と矢じりは出土しない。

 すなわち、戦争をつかさどる軍事権を女性は持たなかった。そのことが、後に男性中心の社会を構築していった」。

 戦争を否とする女性の思いは、古代も今も同じ。軍事権を持てなかったのではなく、持たなかった女性たちの子孫として、今の私たちが、今の時代や果たすべき役割を見極め、過去から未来への橋渡しをしなくてはなりません。未来の女性たちも、また太陽であるために。その意味でも、今回の大会はぜひ成功させたいものです。

 …………………………………

 ほんま・えみこ 1950年、松江市生まれ。慶応義塾大学卒。島根の女性学芸員の草分けとして、女性の視点で歴史を考え、島根県立八雲立つ風土記の丘で展覧会などを企画。2005年より現職。NPO法人・出雲学研究所副理事長。しまね女性の翼ネットワーク代表。島根県景観審議会委員。

('11/09/03 無断転載禁止)

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