“彼氏追跡アプリ”などとして、ネットを中心に物議を醸していたAndroidアプリ「カレログ」がPUP(不審なプログラム)として報告された。McAfeeは9月1日、同社のウイルス情報ページに「Android/Logkare.A」をスパイウェアであるとレポートしている。
「カレログ」は、第三者のAndroid端末について、GPSによる位置情報や通話記録、電池残量、アプリ一覧などが取得できるアプリ。提供元であるマニュスクリプトでは、「彼氏追跡アプリ」といったうたい文句でAndroid向けアプリの提供を行っていた。アプリ提供後、ネット上では彼氏の行動をこっそり監視するという行為そのものへの是非や、第三者の悪用に対する懸念などが指摘され物議を醸している。
McAfeeの報告では、「Android/Logkare.A」は、通話記録やアプリ一覧、位置情報、電池残量を監視するスパイウェアであるとしている。アプリはユーザー側で端末にセットする必要があり、不特定の人物と情報が共有されてしまうものではないため、McAfee側もソフトウェアとしては正当なものであるとしている。
しかしその一方で、ユーザーに知識がない場合などに、明示的な同意なく第三者へ個人情報を送信してしまう機能が盛り込まれており、今回は不審なプログラムとして注意をうながしている状況という。なお、McAfeeのセキュリティアプリをセットしている場合、アプリをインストールするか注意が促されるという。
マニュスクリプトでは、「カレログ」に関する事態の収束を図るため、ユーザーの意見などを踏まえてアプリの修正を順次行っている状況だ。本来、彼氏に見つからずに監視するというコンセプトであったため、アプリのアイコンは一見して「カレログ」とわかりにくいものであったが、わかりやすい形に変更された。また、「カレログ」のGPS起動中に、画面に動作アイコンも表示されるようになった。
プラチナ会員は、監視対象のスマートフォンの通話記録も確認できるとされたが、現在プラチナ会員のチケット販売は停止しており、通信の秘密に抵触する恐れがあるとして、通話記録表示サービスは終了する方針を示している。プラチナ会員はごくわずか(数名)であるため、利用者に対しては個別に理解を求めていく方針だ。
McAfeeの日本法人に対しては、アプリを再度調査するよう依頼しているという。McAfee側も修正アプリに問題がなければ、削除を含めて報告を改める可能性を示している。
このほか、今後のバージョンアップでは、情報送信先のメールアドレスだけでなく、監視対象の端末のメールアドレスも入力する形になるほか、メールアドレスに対してサービス確認メールが届くようにもなる。今後登場する予定の「カレログ 2」では抜本的な見直しが図られるという。
「カレログ」のアプリは現在、5000〜1万件がダウンロードされている。このうち、有料会員は数十件とのこと。マニュスクリプトでは、ネット上でいわゆる「炎上」状態になってしまった事態の沈静化を目指し、ユーザーの意見を踏まえながら慎重にアプリを最適化していきたい考えだ。