(cache) 各地で崩土や土石流、家全壊し１人死亡　みなべ町清川

各地で崩土や土石流、家全壊し１人死亡　みなべ町清川

　台風12号による集中豪雨で、和歌山県田辺市伏菟野以外でも紀南の各地で土砂崩れや土石流が発生した。みなべ町や那智勝浦町で死亡が確認されており、行方不明も多数出ている。

　４日午前２時ごろ、みなべ町清川で土砂崩れが発生。農業畑佳文さん（28）が全壊した住宅の下敷きになり、約４時間半後に遺体で発見された。

　田辺署によると、畑さんは両親と３人暮らしで、１人で離れで寝ていた。崩れたのは離れの裏山で、母屋で寝ていた両親は無事だった。午前４時15分ごろ、区長を通じてみなべ町役場から１１０番通報があった。当時、避難勧告は出ていなかったという。近くの法手見（ほてみ）トンネルも土砂に埋まった。

◇

　田辺市熊野の百間山渓谷入り口近くを流れる熊野川では土石流が発生し、民家１軒が巻き込まれた。５日午前11時現在、榎本艶子さん（71）ら３人が行方不明となっている。

　土石流によって熊野川に幅１００メートル、延長５００メートルにわたって土砂が埋まっている。その土砂が上流の水をせき止めており、決壊する恐れがあることから、危険な状況が続いている。

　地元消防団員や田辺署員らが４日午後、現場に向かったが、川が決壊する恐れがあることから捜索を断念した。５日午前９時に再開したが、捜索は難航している。

　百間山渓谷入り口の対岸に住む榎本静夫さん（82）によると土石流があったのは４日午前７時前。その時、屋外にいた榎本さんは「ゴー」というごう音に気付き、振り向くと樹木が何本も流れ、水しぶきが上がっていたという。「本当に怖かった」と振り返った。

◇

　４日午前９時17分ごろ、那智勝浦町湯川のゆかし潟湖で、軽自動車が水没していると１１０番通報があった。車内の運転席から太地町太地の石田雅信さん（54）が遺体で見つかった。

　県警によると、現場は温泉施設「きよもんの湯」の前。帰宅しないことを心配して捜索していた妻が、車を発見して通報した。石田さんは通勤中に落ちたとみられる。

◇

　那智川が氾濫した那智勝浦町市野々で、寺本真一町長の妻、昌子さん（51）と娘で団体職員の早希さん（24）が行方不明になっている。

　２人は自宅前の那智川の様子を見に行き、川に流されたとみられる。３日午前３時５分ごろ、新宮署に通報があった。

●死者・行方不明者

　台風12号の影響で紀南地方で亡くなったり、行方不明になったりした方々のうち、５日正午までに氏名が判明したのは次の皆さん。

　【死者】田辺市＝中畑峰子さん（86）、山本正江さん（69）▽みなべ町＝畑佳文さん（28）▽太地町＝石田雅信さん（54）

　【行方不明者】田辺市＝山本郁代さん（38）、打越綾子さん（88）、打越啓太さん（17）、打越祐貴さん（16）、榎本艶子さん（71）、榎本美喜夫さん（50）、岡本はまえさん（92）▽那智勝浦町＝寺本昌子さん（51）、寺本早希さん（24）▽新宮市＝中村義明さん（62）

(2011年09月05日更新)