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週刊・上杉隆
【第190回】 2011年9月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
上杉 隆 [ジャーナリスト]

野田内閣発足!3.11以降の「新・最重要閣僚ポスト人事」を講評する

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細野氏の原発事故担当再任と
環境相兼任は朗報

 引き続き、細野豪志氏が原発担当大臣に就いたことは、まずは最良の人事だといえる。率直に言って、いま、極めて困難なこのポストを担えるのは細野氏しかいない。

 三月以降、情報が錯綜し、混乱し切っていた東京電力、経産省・原子力安全保安院、農林省、文科省、厚労省の会見は、細野大臣(当初は首相補佐官)が統合対策本部の中核に据わったおかげで、見事に改善を見た。

 とりわけ、うんざりするような情報隠蔽の続いていたそれぞれの記者会見を統合、主導した手腕は、正しく評価されるべきだろう。

 なにより、間違いを認める率直さと、情報公開における国際標準のスタンスは、原口一博元総務大臣のそれには及ばないものの、全閣僚の中では最も優れている。

 その細野氏が環境大臣を兼務したことは、もう一筋の光明である。

 菅前内閣の置き土産として、原子力安全庁を環境省の外局にすることを決めたまではいいが、その実効性には疑問符がついている。

 だが、少なくとも野田政権の中では、原発事故に関しては多くの情報と知見をもっている細野氏が、来年四月、設置とともに所管する環境大臣のポストに就くことで、経産省時代のお手盛りの原発対応からは脱却できることが期待される。

 当然、ひとりの政治家にできることは限られている。しかし、少なくともこれまでの経緯と、やるべき方法論を知っている細野氏がこの重要2ポストに就いたことは、悪くない人事と言えるのではないか。

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上杉 隆 [ジャーナリスト]

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 最新刊は、『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著)『放課後ゴルフ倶楽部』『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)

 


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