
経営戦略とIT戦略の融合
自社の経営課題を的確に把握し、対応策をきちんと考えていますか?
経営課題や対応策は「経営戦略」として社内に周知され、実行に向かって具体的な活動目標にブレークダウンされていきます。ITの活用も同じです。「経営戦略」を実現する強力なツールとして「IT戦略」を策定し、ITの新しい利用を意識したビジネスモデルの再検討を行うことが大切です。
現状の可視化による業務改革の推進とITの活用による
新ビジネスモデルの創出ビジネス領域の拡大
自社の業務プロセスを把握していますか?把握しているようであっても、いざ紙に書こうとすると書けなかったり、人によってやり方が違うなどということがあるものです。
まずは、今の業務プロセスを文書によって可視化することから始めてみてはいかがでしょう。そこから無駄、重複、非効率、属人的な手続きを把握し、業務プロセスの見直しを行った上で、効率的な実現を目指してITの活用を検討します。その結果、ビジネス上の課題や制約を克服できれば、新たなビジネスモデルの創出や、地理的、業際的なビジネスの拡大にもITの利用や活用を検討していくことが大切です。
標準化された安定的なIT基盤の構築
複数の情報システムが、統一性、共通性が無いまま別個に構築された場合、投資の無駄や重複、互換性の無いデータの保有など、システムの最適な構築が実現できていないケースが多いものです。
自社の情報システムの構築ポリシーを定めるとともに、企業横断的な統制管理組織を編成するなど、部門間の利害を調整し、全社的な観点からの共通IT基盤の構築に取り組むことが大切です。その結果、安定的なIT基盤のもと、環境変化にはアプリケーションソフトの変更で対応するなど、臨機応変な情報システムの構築を目指すことが必要です。
ITマネジメント体制の確立
ITの活用が企業経営にとって必要不可欠な存在となりつつある現在、重要なIT投資の意思決定は経営層がしっかり関与しなければなりません。
また、IT投資を行うにあたっては、IT部門、ユーザー部門、社外のベンダー、コンサルタントなど多くの組織、人が関与します。従って、それぞれの役割を明確にするとともに、各自の役割が遵守されるようマネジメントを的確に行っていくことが必要です。
IT投資評価の仕組みと実践
IT投資を行うにあたっては、判断基準を明確に定めた上で、当該判断基準をもとに、経営課題の優先度・緊急度を加味して決定すべきものですが、社内外に投資の必要性や決定理由を説明できることが必要です。また、IT投資は効果の測定が困難であると言われていますが、直接的な効果だけでなく間接的な波及効果、あるいは定量評価だけではなく定性評価と組みあわせて効果をあらゆる角度から分析するとともに、投資の事前・事後に評価を行うなど評価のタイミングについても考慮することが必要です。
IT活用に関する人材育成
経営にITを積極的に活用するためには、ITを使う人の理解とスキル向上が必要です。研修の実施やIT普及に関する啓蒙活動によって、実際にITを使用する従業員のIT活用意識を高めていくことが大切です。
また、経営とITの橋渡しの機能を担うCIO(チーフインフォメーションオフィサー、情報システム統括役員)もしくはCIO機能を担う人材は企業にとって必要不可欠な存在となりつつありますが、求められる要素と水準を明確にした上で、ある程度時間をかけて育成していくことが必要です。勿論、IT部門の人材育成にも力を注ぐべきであり、IT部門の人材は各人が保有しているスキルを正当に評価し、キャリアパスを明確にすることによってインセンティブを高めます。
ITに起因するリスクへの対応
ITの活用を進める一方で、ITに起因するリスクも増してきます。どのような脅威が存在するのか、発生の可能性や発生した場合の影響はどの程度かなどを加味した上で、必要な対応策を講じておくことが必要です。特に業務へのITの依存度が高まるほど、システムの停止によって事業が継続できないリスクが高まります。また、システムの改ざんや不正アクセスに対してはプログラムの登録管理、アクセス権限の設定、ネットワークの運用管理を適切に行うとともに、アクセスログの保存や分析による異常行動の検出など多角的に対応策を講じておくことが求められます。