原発と放射能についてのコメントやメモ2

ICRPは内部被爆を考慮していないという誤解をときおり見かけるが、もちろん考慮している。内部被爆については、どの物質をどのように取り込んだか(経口か吸引か)によって影響が違い、また体内にとどまる期間は被爆しつづける。これらの影響を考慮して人体への影響の大きさとして計算したものが預託実効線量と呼ばれるもので、おとななら一度の摂取による影響を50年間にわたって積算したもの。速く排出される物質なら排出されるまでの被爆総量、排出に時間がかかるものなら50年間の被爆総量をシーベルト単位で表す。外部被爆と違って将来にわたる被爆量の累積であることに注意。いったんシーベルトで表してしまえば、内部被爆も外部被爆も関係なく足してしまえば、累積の被爆による総影響となる。内部被爆については、まだ被爆していない分も足してある


リスクの程度を知るためにも、自然放射線による被爆量は知っておくほうがよいと思う。内部被曝についても、おとなはだいたい4000BqのK40とC14などで計7500Bq程度の放射性物質を体内に持って、常時被爆し続けている。非常に単純には、これに対して無視できる程度の被爆は気にしなくてよいはずだけど、そういうと怒られるので、「僕なら気にしません」とだけ言うことにします。


リスクを比較することは嫌われるらしいのだけど、一般にはひとつのリスク要因にのみ注目することは全体としてリスクを上げる。リスク比較は個人の意思決定のために重要なはずだと僕は信じている。たとえば、喫煙リスクとの比較が嫌われるのは、「喫煙と比較すれば安全ですよ」と原発推進派に言われたくないということなのだと思う。言うからいけないということなのだろう。それは「各個人が自分でリスク比較をしない理由」にはならないというのが僕の意見。それぞれ、自分が納得できるだけの安全係数を掛けてリスク比較をするほうがよいと思っている。ICRPよりもECRRがよいと考える人はECRRに従ってリスクを考えればいい。自分の身を守るというのはそういうことのはず


怪しい「放射能汚染対策」は百害あって一利なしなので、できればやめてほしい。


バズビーさんとかガンダーセンさんとか、とてもおかしなことを言っているとしか思えないのだけど、一定の支持を集めていることには危機感というか絶望感をおぼえる


牛の問題以降、「全頭検査」「全量検査」がひとつのキーワードになっている。BSEを思い出すが、実はBSEと違って、牛一頭を検査するだけでもかなりの時間がかかり、測定器の少なさ(たぶん、人も)と相俟って、牛を全頭検査すると他の食品を検査するためのリソースがかなり食われるという事態になるのではないかと思う。そこで、簡易検査によるスクリーニングが実施されるらしいのだが、簡易検査は精度がかなり低くなってしまうのではないかと思う。
話は牛に限らない。牛だからがんばれば全頭検査ができてしまうのに対し、他の多くの食品はそもそも無理だろう。精度の低い全量検査と、一定以上の精度を確保したサンプリング検査はどちらがよりよいのか。僕なら後者だと思う。サンプリングの方法さえきちんとしたものにすれば(それが重要)、精度のよい測定によるサンプリング検査のほうが消費者にとってもいいはず。もちろん、それは検査結果の数値がきちんと公表されることが前提

[追記]
C14をC13と誤記しているとこっそり教えてくださったかたがいました。わわわわ。こっそり直しました。すみません。勘違いじゃなくて、本当に誤記です

― posted by きくち at 03:50 am commentComment [21] pingTrackBack [0]

この記事に対するコメント[21件]

1. fisker — August 6, 2011 @11:23:53

特定のリスク要因を過大評価すれば全体のリスクを上げるというのはまさにその通りだと思います。BSEや新型インフルエンザ騒ぎでも感じましたが、我々は過去の反省から学ぶというのがとにかく苦手なようです。
セシウムなどの放射性物質が病原菌と異なるのは、少量の摂取であればリスクはほぼ無視できる、といって怒られるなら、量の少なさに見合うだけ小さくなる、ということです。1日に何10kgも肉を食べる人は(たぶん)いないので、基準を超える汚染肉の流通をゼロにする必要はなく、サンプル検査によって一定割合以下に抑えるだけでリスクは十分低く抑えられます。
リスクのある食品は他にも色々ある、というかリスクのない食品なんて存在しないわけで、放射線リスクばかりに気を取られて他の遙かに高リスクの食品への対応がおざなりになっては意味がありません。
メディアや一部の学者が話題性の高いリスクを騒ぎ立てるのはある意味自然なことで、公衆がそれに惑わされるのもある程度はしかたないのでしょう。そこはリスクコミュニケーションに期待したいところではありますが、それはさておき、責任のある行政や諮問機関が合理性を忘れて世間の空気に流されてちゃいかんだろう、と思います。

Owner Comment きくち  August 6, 2011 @12:06:37

行政がリスクを合理的に判断するだけではなく、それをどのように市民に伝えていくかが重要で、ここまでのところそのリスク・コミュニケーションでの失敗が続いていると思います。

大学にはリスク・コミュニケーションを研究している人たちがいるんじゃなかったのか、という不満は当初からあります。

Up3. 電気屋 — August 6, 2011 @15:47:36

 先日イオンが業界に先駆けて牛肉の全量検査実施みたいなニュースが流されまして、映った映像はパックの牛肉にハンディタイプの線量計をかざしてるというモノでした。
 ちょっと勉強したヒトなら、コレは放射能よけのお札で安心って言ってるのと大差ないってバレちゃいますが、実際にはかなり多くのヒトの安心につながってはいるのでしょう。
 安全は保障できないけれど、いい加減な全量検査が与える安心感は意外と高いのかもしれません。たぶん、イオングループの全量検査はそこいらあたりを目指してるんでしょうね。まさかホンキで安全対策とは思っていないはず。
 この全量検査がおまじないだってワカるヒトは、牛肉の放射能はさほど気にかける必要がないと考えている可能性大ですから。

Owner Comment きくち  August 6, 2011 @16:52:11

その検査で見つかるようでは大変ですね。
いい加減な検査でも安心できるというのは、いいんだか悪いんだか。おまじないですね、たしかに

本筋としては、きちんとした精度の高い装置によるサンプリング検査でしょう。

厚生労働省は全頭検査のために簡易測定によるスクリーニングを認めるみたいなんですが、それだと基準値の半分がスクリーニングレベルになっています。それくらいにしないと全頭検査できないのでしょう。
そんな粗いスクリーニングするより、サンプリング検査を精度の高い機械でやったほうが、どれだけの放射性物質が含まれるか正確に推定できると思うんですけどね

5. 亀@渋研X Website — August 6, 2011 @18:20:58

牛の件。よく(ぜんぜん? 汗)わかっていないのに書き込むのはどうかと思いつつ。

児玉龍彦氏の国会でのスピーチやらtogetterで食肉の安全関係の人たちが書いていたことと、ここで読んだことからぼんやりと思っている話。
「精度の高いイメージング機器による精密なサンプル調査」と「精度は粗いが基準を厳しくした全量検査」を組み合わせて運用したらどうか、というのはボクのような素人には思いつきやすい方法です。後者によって、いま流通しているものこれから流通するものの大ざっぱな切り分けをしつつ、その間にも牛のどの部位にどういう影響が出やすいのかとか、そういう分析を進めてフィーフォバックしていく、というイメージです。
もっとも、後者が「おまじない」ではどうにもならんので、せめて「やらないよりはやったほうがまし」ぐらいの精度はないと成立しない話ですが、いまやってることは、その程度にもなんないんですかね。

あとリスク比較。自分でも釈然としないことがあるのだけれども、実際なにがどれぐらい危険なのかって、比較しないとわからないことは多々あって(比較しても異質過ぎてわからんこともあるけど)、いろいろもやもやします。
以前、こんな話も書きました。

PSJ渋谷研究所X: 損失寿命=LLE:Cohenと原発とTOSS(2005年12月15日)
http://shibuken.seesaa.net/article/10684129.htmlLink

Owner Comment きくち  August 6, 2011 @21:39:47

たとえば、100Bq精度の簡易測定で250Bq以上を精密検査にまわし、それが500Bq以下なら出荷可にすると、100Bq以下についてはわからないわけね。それをどう公表することになるのか、僕にはわからないけど、100Bq以下はNDということにするしかない。
いっぽう、最初から10Bq精度の測定をすれば、NDは10Bq以下。
いずれも、基準値を超えているかどうかの結果は同じになるだろうけど、基準値以下の検出値については、後者のほうが精度高いわけです

基準値はあくまでも出荷できるかどうかを決める値で、消費者が買うか買わないかの判断はそれに縛られる必要はないわけ。消費者に判断のためのデータを与えるという意味では、精度が高いほうがいいと思う。

7. LiX — August 7, 2011 @03:19:46

こんばんは、
現在の汚染度は原水爆実験が盛んだったときの何%とか、中国のどこかの都市の何割とか、大きな数字を経由せずに説明する方が分かってもらいやすいと思われます。

リスク・コミュニケーション、ついでにレギュラトリーサイエンスまたは毒性学の研究者が政治家、官僚、マスメディアで活躍するほど影響力の広がりを見せていないということでしょうか。今、日本語版Wikipediaにはレギュラトリーサイエンスの項目さえ作られていないことを発見。

Up8. よたよたあひる Website — August 7, 2011 @02:18:23

 厚生労働省や水産庁、あちこちの自治体等のHPで公表されている食品のモニタリング値をチェックしながら、さて、何をどう食べていこうかなと考えつつ日々の買い物をしている一応主婦の一人としては、肉牛の全頭検査で牛肉以外の食品のモニタリングが十分にできなくなるのではないかと心配しています…今までのモニタリングでも「大変なのはわかるけどもうちょっとできないのか」と思ってみてましたし、海産物のセシウムの量が増えてきているのかどうかとかこれから新米もでてきますから。
 
 ネット上で「暫定規制値がゆるすぎる」という発言を見かけるたびに、規制値よりもモニタリング値を見ればよいのに、と思うことしきりでした。もちろん、暫定規制値の数倍という牛肉が消費者にまで届いていたという問題がでてしまったので、これまでのモニタリングでは足らなかったということや農家に対する行政からの指導や支援が十分ではなかったということがわかりましたけれど、機器の台数が限られている中で、暫定規制値の数字だけを厳しくしたところでどうにもならないと思うのですけど。
 そして、それこそ武田邦彦先生でさえもが「水道水はどこでも大丈夫」とブログに書いていても、東京の水は飲めない、暫定規制値以下はみなNDにしている、と信じている人もいらっしゃるようでなので、広報もうまくいっていないのですよね。私は都内多摩地域在住なので、東京都の関連サイトをよく見るのですが、後手ではあっても、東京都水道局の浄水場の浄水は検出限界値がついたデータになりましたし、健康安全研究センターのHPもかなり詳しい解説を掲載しています。それでもやっぱり不信が強いのは、行政がこれまで下手だったというだけでなく、報道や口コミが足をひっぱっているという点も無視できません…

 結局、この大量の放射性物質漏出・拡散という未曾有の事態で、マニュアルも適切なものがなくて対応が後手後手だったことから国民の合意を作ることに失敗したということなのだと思います。

9. ごんべえ — August 7, 2011 @08:28:19

「実はBSEと違って」のフレーズは余分じゃないでしょうか。BSEの検査だって相当の時間がかかるものですから、定量的に何倍としていただかないといけません。

「精度の低い全量検査と、一定以上の精度を確保したサンプリング検査はどちらがよりよいのか。」については、もとの分布をどのように想定するかですよね。少数のはずれ値的に高い個体がたまにあって大部分は低いという分布だと、精度の低い全個体検査が合理的だし、大体レベルはそろっていて規制値の下近くにいるんだったらサンプリング検査でモニタリングが妥当となります。農家ごとに飼い方が違っていることと、牛は取引によって同じ来歴とは限らないという個別性があいまって、全数検査という勢いになるひとがいるのでしょう。

あとは、牛一頭は結構高いので、現在の市場で自由にやったとしても検査済み/未検査の価格差が検査費用を上回る状況になりそう。

ということで、全頭検査なんかは、私的部門に任せておいて、公的機関は広くいろいろなものを適切にサンプリング検査することに専念すればいいというところじゃないでしょうか。

<きくち August 6, 2011 @21:39:47 >について

消費者に精度が高いほうが良いと言っても、未検査と500 Bq/kg未満の価格差は結構つきそうだけど、100 Bq/kg未満と10 Bq/kg未満の価格差が検査費用をまかなえるだけ付くかどうかはちょっと疑問ですが、高級牛だと意外に十分な差が付いたりするかもしれませんね。

Owner Comment きくち  August 7, 2011 @10:07:12

BSEとセシウムの検査にかかる検査時間については、農林水産省の原田さんが7/19にtwitterで書いておられました。
.........
BSEは1度に90頭程度一次検はできるので全頭検査が可能。放射性物質は1検体2時間以上必要で検査余力もない状況
.........
ただし、放射性物質は簡易検査ではないはず。簡易検査を認めることで、この差を縮めて、全頭検査可能にしようというのが厚生労働省の方針なのだろうと思います

牛については、農家ごとに餌が違いますから、全頭ではなく各農家から1なり2なりをサンプリングすればいいでしょうし、そうすることになっていたはず

11. flareskirt — August 7, 2011 @11:03:36

まったくの素人で恐縮ですが、K40とC14というのは、ベータ線を出すんですよね。それが通常体内に数千ベクレルあるといっても、アルファ線やガンマ線を出す核種を体内に取り込むというのは、また違った意味があるのではないでしょうか。
体内被曝数千ベクレルのベータ線というのは、何シーベルトに相当するのでしょうか。そしてそれは、汚染された食品を大量に摂取したと仮に考えた場合に、ストロンチウムとかセシウムとかを内部被曝した際のシーベルトよりも十分に大きい値なのでしょうか。素朴な疑問です。

Owner Comment きくち  August 7, 2011 @13:42:43

核種や放射線の種類によらず人体への影響を比較できるようにするのがシーベルトという単位ですので、シーベルトにしてしまえばあとは数字の大小だけで比較してかまいません

原子力資料情報室の「放射能ミニ知識」に、さまざまさな核種の線量が出ています
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/Link

K40の内部被爆は「生殖腺や他の柔組織に対する年間線量は0.18ミリシーベルト、骨に対しては0.14ミリシーベルトである」だそうです

Up13. fisker — August 7, 2011 @14:52:49

flareskirt様 ― August 7, 2011 @11:03:36
放射線の種類ごとに人体に対する影響に応じて放射線加重係数というのが定められていて、吸収線量(単位はグレイ:Gy)にこの放射線加重係数を掛けたものを等価線量と呼びます。放射線加重係数はX線、β線、γ線は1、α線は20です。中性子線はエネルギーに応じて5〜20の幅があります。
なお、核種によって体内に取り込まれた際に蓄積しやすい部位が異なり、体の組織の放射線に対する感受性も一定ではありません。そのため、組織ごとに組織加重係数という係数があって、等価線量にこれを掛けたものを実効線量と呼びます。実効線量になっていれば、全身が均等に被ばくした場合に換算されていますので一元的に比較、評価することができるのです。

14. かとう — August 7, 2011 @15:07:01

ベルトコンベア式で、一件(一頭じゃない。切り分けた部位だと思う)5秒ぐらいで簡易検査できる装置を作れるって言ってる所が議員に売り込んでるらしく、それを導入すべしみたいな話も、委員会で出てました。

また、すでに風評被害として産地毎での価格差が出てるそうです。
A5ランクで、キロ3000円ぐらいつくはずのものが、数百円ぐらいになるという話でした。

聞き流していたので、発言された議員の方の名前がわからないですが、「もし流通したとして、それで増える癌は0.数パーセントですよね。だったら、そんなものに予算をつけずに、がん検診をもっと受けてもらうように予算をつけて、早期発見早期治療に努める方が、それ以外でがんに罹る方も救えるので、そうした方がいい」という主旨の発言がありました。
卓見だと思います。

Owner Comment きくち  August 7, 2011 @17:15:37

検査にかかる時間と精度(というか、検出下限)のトレードオフですからねえ。
富士電機かな、メーカーとしては信頼できると思いますが。

16. com — August 7, 2011 @20:49:21

こんばんは。 
 
どこに書くか迷ったのですが、ここに。 
放射線・放射性物質対策が社会全体としてのリスク低減になるのか、という論考が中西準子先生のところでupされていますね。 
 
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/Link  
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak556_560.html#zakkan558Link  
 
論考中、福井県立大学の岡敏弘教授の、詳細なリスク計算もあります。 
 
感情的な議論ではなく、ようやっとこのような議論が始まりつつあるのはうれしく思います…願わくばもっと政策に反映してもらいたい><

Owner Comment きくち  August 7, 2011 @21:26:37

ありがとうございます

1/2の問題は津田さんや川端裕人さんも少し議論しておられて、僕も釈然としないところはあります。
ただ、それは所詮2倍の違いなので、最終的に目指す先が1mSv/yならたいした違いはないのではないかと思います。つまり、それもまた(というより、それこそ)「決着を待たずに対策をする」の範疇に収まるのではないでしょうか。

ていうか、2倍くらいゆるい基準でも除染を早く進めたほうが、総被爆量は少なかったりしそうです

18. flareskirt — August 8, 2011 @00:06:47

きくち先生、fisker様、ご丁寧に詳しくお教えいただきありがとうございました。お蔭様で理解することができそうです。

19. よたよたあひる Website — August 8, 2011 @01:58:52

>ごんべえさん(August 7, 2011 @08:28:19)
〜〜〜〜〜〜
「実はBSEと違って」のフレーズは余分じゃないでしょうか。BSEの検査だって相当の時間がかかるものですから、定量的に何倍としていただかないといけません。
〜〜〜〜〜〜
 BSEとの検査との比較ではないですが、上州牛のブランドを持っている群馬県のHPより「牛肉の全頭検査についての臨時記者会見要旨(7月27日)」
http://www.pref.gunma.jp/chiji/z9000038.htmlLink
より抜粋
〜〜〜〜〜〜
(知事)
 JAと相談した結果、検査器具の納入が早まったということです。(検査)器具が納入されますと、来月早々には50頭の検査がしっかりとできる体制ができます。農家の方々には、この間は出荷調整をしていただき、全頭検査に対応していただく、県とJAでも本日検査器具を発注しました。さらに、あと2台の検査機器が納入されると100頭を超す検査体制がしっかりとできます。通常でも1日最大で(と畜頭数が)100頭くらいですから、全頭検査の体制がしっかりとできる見込みが立ったので、明日から全頭検査に移行していくという考えです。  

(記者)
 明日からですか。

(知事)
 明日からできるのですが、今の段階では出荷されないのですが、全頭検査になれば対応できると思いますし、それはしっかりとJAの皆さんと調整していただき、検査体制の範囲内の出荷をしていただくための協議をしたところです。

(記者)
 全頭検査の開始時期なのですが、いつくらいから・・・。

(農政部副部長)
 明日はまだ20頭です。 

(知事)
 明日から5日までは、20頭です。

(記者)
 8月5日までですね。6日以降は。

(知事)
 52頭です。

(記者)
 ちなみに県内に牛は何頭いるのでしょうか。  

(畜産課次長)
 出荷頭数が年間約4万頭です。

(知事)
 過去の状況を見ますと、夏場は(出荷が)少なく、冬場が100頭超えです。
〜〜〜〜〜
 読んでいて「政治判断」と「実際に可能な検査のあり方」と「今現在追い詰められている生産者の状況」がわかって辛くなる記事でした。

 この後のやりとりで、7月23日から27日までは検査体制ができていないため、屠畜数0、28日から横浜の検査機関に一日20頭の検査を委託する契約ができていることなどの話がでてきています。委託検査は「精密検査」で、JAで新規購入した1台の機械と追加で発注した2台の機械(都合3台、うち1台は県の所有らしい)は「簡易検査」で1台の機械で1日32頭の検査ができる計算だそうです。
 委託の「精密検査」は全戸検査対応をして、JAと県の購入する「簡易検査」が全頭検査対応ということのようです。
 「精密検査」はゲルマニウム半導体ガンマ線スペクトロメトリーでの検査、ということだと思うのですが、素朴な疑問として、基本的な職員の労働時間が8時間、残業をするとしても検査の準備などの時間を考えると、1日に20頭の検査だと、1頭の検査にかけることができる時間はせいぜい20分程度ではないかしら、どこまで精密に検査できるのかな、と考えてしまいます。委託の料金はわからないですが、ネットであちこちみていると1検体1万5千円から2万円くらいらしいし、県の負担も相当なものです。

 あと、ご紹介した記者会見の後、7月29日には厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課から都道府県衛生主幹部局あてに「牛肉中のセシウムスクリーニング法の送付について」という事務連絡がだされています。
http://
www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001krg9-att/2r9852000001krme.pdf 
(PDFなのでリンクははずしました)
検査にあたっての注意事項や検出限界値の確認方法などおもしろかったです。

20. ZYX — August 17, 2011 @06:53:02

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23695Link

福島県放射線健康リスク管理アドバイザーによる講演会より

訂正:質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。

菊池さん、ご確認をお願いします。

Owner Comment きくち  August 17, 2011 @10:52:04

その間違いはまずいでしょう。
累積100mSvと混同したのかと思いますが、強度で100μSv/hはない

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